村井さん「生物季節観測は各気象台・測候所の職員が観測の一つとして行っており、似たような種目との見分け方はマニュアル化しています。 現在、23種の動物(鳥、昆虫など)と34種の植物を「生物季節観測」(動物と植物の総称)として、全国の気象台と測候所計58地点で観測していますが、それを、2020年末をもって大幅に縮小し、特に動物については全廃、2021年1月からは桜や梅など植物6種のみ観測を続けると11月10日に発表しました。 生物季節観測データベース• なぜこれほどまで一度に廃止するのか。
5気象庁は、今回の生物季節観測の大幅縮小について、予算や他業務との関連性を理由としては挙げていない。 2019 Adaptive responses of animals to climate change are most likely insufficient. 今回の大幅縮小に際して、事前に広く国民に意見募集がされることはなかった。
しかし、今回行われる「生物季節観測の見直し」は、 動物季節観測の全廃を前提としており、これは大きな社会的問題をはらんでいると思われます。
ですが 長期的な視点に立てば、動・植物の変化や季節の移ろいを気象官署が記録するというのは、産業の興隆や公共の福祉に貢献することは間違いないでしょう。
気象庁が行う業務として、生物季節観測は必要不可欠なのだろうか。
また、観測の方法は すべて目視・聴覚によるものであり、気象台の職員が実際に見て・聴いて観察したものを観測記録としているのだ。
わたしたちは生物季節観測の変更に係る見直しについて、必要な情報提供や種目選別作業等に関する協力・支援を惜しみません。
生物季節観測の成果は、日々の天気予報や警報にすぐに反映するわけではないので重要度が軽んじられる向きもあるかも知れません。
ほかには、例えば、桜の開花日を過去にさかのぼって調べると、年を追うごとにだんだん早くなっていることが分かります。
歴史学の分野では、過去の生物季節を記した史資料を用いて、それぞれの時代の気候の特徴を知り、長期にわたる気候変動を推定することがなされています。 わたしたちは、生物季節観測の事業について、継続することによる多くの科学的知見の蓄積とそれによる政策立案の可能性について十分検討されないまま、多数の項目の中止が検討されている状況を深く憂慮しています。
3気象庁が挙げる理由だけを材料とするならば、あまりにも 乱暴な「リストラ」と私には感じられるのだ。
気象庁によるこれまでの生物季節観測手法と大きく異なる場合は補正が必要である。
出典 気象庁HP(スタッフ加工) 現在も気象官署によって観測する項目は違いますが、観測機器だけではとらえられない季節の変化や、自然界の異変をキャッチしようとするのが目的であることは論を俟ちません。
ホタルやトカゲが見つからない年というのもあるのでしょうか。
なお、廃止する種目・現象を含む観測方法を定めた指針を気象庁ホームページで公開する予定ですので、地方公共団体等において各々の目的に応じて観測を実施される際にはご活用ください。
今回の発展的な継続の発表を受けて、NACS-Jでは、全国のNACS-J自然観察指導員や、モニタリングサイト1000里地調査の市民調査員など、2万5千人を超える会員・サポーターの皆さまに協力を呼びかけながら、気象庁・環境省・国立環境研究所の新たな取り組みを支援してまいります。
それならば、今後は観測対象から外す、ということもある意味納得はできる。
今この瞬間というのは、もう二度と戻ってこない、取り戻せない瞬間だから、観測する者はしっかりと記録しておかなければいけない、という心構えのことだ。
いずれも、季節の進み具合や長期的な気候の変動を把握するなども視野に入れた重要な観測です。 真冬にみられるキクの花は秋ギクや寒ギクの開花を電灯照明で抑制したものである。
9気象台の敷地の中にある場所もありますが、近くの公園へ観測にいくこともあります。 そこで気象庁が出したひとつの答えが 「生物季節観測の縮小」でした。
種生物学会 会長 陶山 佳久• また、各気象台・測候所の場所によって、気候はもちろん違いますので、その違いを見極めようということもあります。
となると、これはただ単に間違えただけなのか、ひょっとしたら観測の切断を忍びないとした観測員が自己判断で観測したものなのか、2月の段階では分かりませんでした。
しかしながら、観測が中止される観測項目の中には、55か所の気象台において1953年より観察されてきたモンシロチョウの初見日のように、長期間・広範囲にわたり観測されてきた生物種を対象とした現象も少なくありません。
[佐藤 哲]. この生物季節観測はアメリカのスミソニアン研究所の方法に倣って、気象庁では1953年から行われています。
人によって価値基準が異なる部分だとは重々感じているが、気象業務に携わる私としては、不要とは思えない。
観測をやめる動植物の観測方法の指針を公表するということですが、いつごろ公開する予定なのでしょうか。
日本植物分類学会 会長 伊藤 元己• また、日頃よりNACS-Jが連携をしている市民参加調査で実績のある企業や専門家とも引き続き連携の輪を広めてまいります。
その一方で、個人レベルで行うならばあまり難しく考えず、 日記帳に毎年書き留めておくだけでもいいだろう。
であれば、そうしたことができるのは政治であり、それを動かすのは私たち世論の力だとも思う。 もちろん、「賛成」や「どちらかと言えば賛成」とも合わせて約30%の方々が思っていらっしゃるのだが、読者の皆さんはどのようにお感じになるだろうか。 初めは個人の楽しみでだけで行っていたものの、しばらく前からは気象庁の生物季節観測がいつか無くなるかもしれないという懸念も抱きながら、観測を続けてきたものだ。
Nature Communications, 10: 3109. Global Change Biology, 9: 1634-1642. 全国各地の気象台・測候所での植物季節観測や動物季節観測のデータです。
その気温上昇による影響は広く生物界全般に拡がりつつあり、生物季節や生息域、生物群集の変化を引き起こしていると考えられています。
一方で、本省の外局である1つの官庁の予算を大幅に増額するというのは、そう簡単なことではないだろう。
ありていに言えば、「カネにならない業務」こそ民間では続けにくいのだから、その価値をきちんと認識し、国がしっかりと継続していってほしいのが正直な気持ちだ。
Doi 2007 Winter flowering phenology of Japanese apricot Prunus mume reflects climate change across Japan. なぜ今年は観測できなかったのだろうか、逆に、しばらく観測できていなかったのになぜ今年は観測できたのか、などといったことを考察するためにも、観測できない年があっても、観測を続けようとする行為・想いが大切だと私は強く思う。
2例年通りの場所で見つからないようであれば、ほかの場所を探すこともありますし、何かの用事で通り掛かったときや通勤途中に探すこともあります。
過去の観測データをご覧になりたい方は、からご覧ください。
(防災業務のあり方については以前詳しく書いたため今回はこの程度にするが、ぜひもご一読いただきたい。
今後はさらに気候変動が進む時代になると予想され、その生物季節観測の重要性が増すものと考えられます。