Cancer 1997;79:1428-37• がん治療による痛み(術後痛症候群,化学療法後神経障害性疼痛など)やがん・がん治療と直接関連のない痛み(脊柱管狭窄症,帯状疱疹など)では原因に応じた治療を行う。 また,ケタミン投与群ではプラセボ群より眠気が多く認められた〔1. また,弱オピオイドの代わりに少量の強オピオイドと非オピオイド鎮痛薬を併用することも選択できるとしている。
4悪心を対象とした前後比較研究ではcyclizine やクロルフェニラミンマイレン酸塩が使用されている(Morita ら)。
特殊な疼痛症候群(神経障害性疼痛,骨転移痛,上腹部の内臓痛,胸部痛,会陰部の疼痛,消化管閉塞など)の場合にはそれぞれの対応を検討する (を参照)。
効果が不十分であれば両者を併用する。
Bell ら による系統的レビューでは,大規模な質の高い無作為化比較試験はなく,根拠としては不十分であるが,ケタミンの有効性を示唆した4 つの無作為化比較試験と32 の記述的研究を抽出した。
ESMO のガイドライン(2012)では,神経ブロックや放射線治療,他の鎮痛薬を併用することでオピオイド投与量を減らし悪心を改善できることがあるとしている。
11以上より,コデインは,非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない,または,中等度以上のがん疼痛のある患者に対して,安全で有効であると考えられる。 3(プラセボ投与群),投与後30 分の0~3 スケール〕。
5.医療用麻薬の治療期間は 3 か月が基本であり、最長でも 6 か月で休薬を考慮して減薬すること。
VAS(視覚的アナログスケール)の方法 VASは以下のスケールを用いて疼痛を評価していく。
しかし,慢性痛患者においてVAS に正確に回答できないものは11%であり,numerical rating scale(NRS)の2%,verbal rating39scale(VRS)の0%と比べ多いとの報告があることから,使用の際には注意が必要である。
例えば,Narabayashi ら による前後比較研究では,副作用のためモルヒネを増量できず,中等度以上のがん疼痛のある患者25 例を対象として,経口オキシコドンに変更を行ったところ,変更後2. NCCN ガイドライン(2012)では,モルヒネ速放性製剤の経口投与を1 時間おきに2~3回繰り返しても痛みが緩和できない時は,痛みの評価を再度やり直すとともに,持続静注・持続皮下注に変更することを推奨している。 ですから、患者さんに痛みの感じ方を質問しなければなりません。
7どちらかというと治療経過ででどのように変化するかで利用する)• したがって、日本での非がん性慢性疼痛に対する医療用麻薬の使用において最も重要なことは、オピオイド鎮痛薬の乱用・依存患者を出さないことである。 Oxycodone controlled-release as first-choice therapy for moderate-to-severe cancer pain in Italian patients:results of an open-label, multicentre, observational study. オピオイドによる症状の場合は,投与量が患者に適切であるかをまず検討し,減量を検討する。
*1:補正カルシウム値=カルシウム値+(4. 副作用として,幻覚が30~40%,酩酊感が20%に認められた。
人を構成する要素はたくさんある ・筋肉 ・骨 ・血管 ・神経 ・リンパ ・血液 ・内臓 ・精神 などなど。
内訳は,最小NRS0の群(I群)は23名,平均年齢70. ヌーメリック・レイティング・スケール(NRS:numerical rating scale) 直線を〈痛みがない:0〉から〈最悪な痛み:10〉までの11段階に区切って、患者さん自身に現在の痛みに相応する数値を示してもらい、痛みを評価します。
まとめ 痛みは、主観的な経験のため、客観的に測定することは困難です。 J Pain Symptom Manage 1999;18:111-9($) 16) van Seventer R, Smit JM, Schipper RM, et al. J Pain Symptom Manegement 2005; 29:80-90($) 臨床疑問12 24) McNicol E, Strassels SA, Goudas L, et al. Fentanyl buccal tablet(FBT)for relief of breakthrough pain in opioid-treated patients with chronic low back pain:a randomized, placebo-controlled study. 突出痛の改善がNRS 4~6 までにとどまれば同量を投与し,再評価を行う。 なお,歩行評価,BI,EQ-5D総点数においても有意差は認められなかった。
14国外のエビデンスを基にまとめられた、オピオイド鎮痛薬の不適切使用の危険因子(表4)とオピオイド鎮痛薬の不適切使用の危険因子(表5)を示す。 オピオイド開始時に制吐薬を定期的に使用した場合には,オピオイドの悪心・嘔吐に対しては耐性が生じるため,投与後1~2 週間で減量・中止することを検討し,漫然と長期投与にならないようにする。
連絡先 info rehabilidata. 2,2 週間後),コルチコステロイドによる鎮痛効果を示せなかった。
1C (強い推奨,とても低いエビデンスレベル) 解説 本臨床疑問に関する臨床研究としては,無作為化比較試験,質の高い前後比較研 究のいずれもない。
ビジュアル・アナログ・スケール( VAS : visual analogue scale ) 紙の上に10cmの線を引いて、左端に0mmとして全く痛みがない状態とし、右端に100mmとして今までで一番の痛みの状態とします。
ただし,鎮痛効果は中等度であり,NSAIDs では消化管への有害作用などの副作用の出現頻度が高くなる可能性があるため,長期投与は鎮痛効果と副作用を評価して判断する。 Louls, Mosby, 1987 4) Serlin RC, Mendoza TR, Nakamura Y, et al. もう1つは、自分が今までに経験した最高の痛みを10として現在はいくつにあたるかを質問する方法です。 1 )痛みの原因の評価 痛みの原因の評価では,がんによる痛み,がん治療による痛み,がん・がん治療と直接関連のない痛み,オンコロジーエマージェンシー,特定の病態による痛みを評価する。
17呼吸抑制など重篤な副作用はみられなかった。
鎮痛効果が不十分な場合は,非オピオイド鎮痛薬をオピオイドと併用,オピオイドスイッチング,他のオピオイドを追加,投与経路の変更,鎮痛補助薬をオピオイドと併用,または神経ブロックなどを検討する。
ESMO のガイドライン(2012)では,オピオイドが投与されていない軽度の痛みのある患者に対しては,アセトアミノフェンの投与を検討することが推奨されている。
Support Care Cancer 2005;13:888-94 臨床疑問8 3) Dhaliwal HS, Sloan P, Arkinstall WW, et al. Ketamine as an adjuvant to opioids for cancer pain. 今回、疼痛増悪による疼痛コントロール目的で入院となり、処方2に変更となった。
Cochrane Database Syst Rev 2005(1):CD005180 4) Moertel CG, Ahmann DL, Taylor WF, Schwartau N. ** 以上より,オピオイドで鎮痛効果が得られない持続痛のある患者において,非オピオイド鎮痛薬・オピオイドの併用は,中等度痛みを緩和すると考えられる。 数値的評価スケール numerical rating scales(NRS)• 6%から92%(効果あり72%,非常に効果あり19%)に増加し,QOL も改善した。
Stambaugh ら による無作為化比較試験では,オキシコドンとアセトアミノフェン投与中の骨転移痛を有するがん患者30 例を対象に,イブプロフェン600 mg の上乗せ効果を比較したところ,平均疼痛強度はイブプロフェン群で低く(数値の記載なし,p<0. 痛みの強さ(程度)は治療効果判定の意味からも初診時に評価しておくことが重要である。 Oral morphine for cancer pain. Cochrane Database Syst Rev 2004(3):CD004847 14) Mercadante S, Bruera E. 例えば、侵害受容性疼痛では、脈打つような、ズキズキするような、という言葉で表現されることが多く、一方で、電気が走るような、しびれ痛いような、などは神経障害性疼痛の痛みを代表するような言葉と言えます。
*:COX-2 プロスタグランジン合成に関わる酵素。
Breakthrough cancer pain:a randomized trial comparing oral transmucosal fentanyl citrate(OTFC)and morphine sulfate immediate release(MSIR). 5.特定の病態による痛み 特定の病態による痛みに対しては,非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療(「共通する疼痛治療」)に加えて,それぞれの病態にそった治療を検討する。
また、特に慢性の痛みでは、痛みの強さを軽減することにではなく、生活の質を保つために、患者さんと一緒に考えて行くことがあります。
1、NRSとは NRS(Numerical Rating Scale)とは疼痛スケールの1つで、患者の主観的な痛みを客観的に評価するために用いられます。 その1つである疼痛生活障害評価尺度(表5)は、慢性痛を対象に、痛みでどれだけ日常生活に支障があるかを評価したものです。 痛みの緩和、増悪(痛みが緩和するor増悪する姿勢やポジション、タイミングを聞く)• 代替の薬剤として、最も適切なのはどれか。
5具体的には、「痛みに関しては、今の生活で満足されていますか? それとも痛みで日常生活に支障があって何か対応したほうがいいですか?」と聞くとよい。 一方で、恐ろしい、気分が悪くなるような、などの痛みには、身体的要因以外の関与もうかがえます。
原因:痛みのキッカケ• Eur J Cancer 2002;38:1358-63 27) Stambaugh JE Jr, Drew J. また、痛みは個人によってとらえ方や表現の仕方がばらばらで、医師や看護師、その他医療職が客観的に評価して共通認識することが難しいとされています。
主観的な体験を聞き取るため、 関係性構築が前提条件となります。
Hardy ら による,オピオイド投与を受けている終末期がん患者で悪心・嘔吐を訴えている92 例を対象に,オンダンセトロン24 mg,メトクロプラミド30 mg,プラセボを用いた無作為化比較試験では,プラセボ群,オンダンセトロン群,メトクロプラミド群でそれぞれ33%,48%,52%で24 時間以内に嘔吐が完全に消失したが,群間差はなかった。