寝たきりの入所者を乗せた車いすは重く、「3人掛かりで抱えてやっとだった」と男性は振り返る。 山間部には安全な平地が少なく、千寿園のように災害の危険性が排除できない場所に高齢者施設が立地しているケースは多い。
千寿園が18年4月に作成し、村に提出した避難計画は「土砂災害に関する避難確保計画」のみ。
午前1時半ごろ、強い雨音が心配になって地域を見回り、千寿園の裏山から水が流れ出しているのを確認した。
水防法は最大規模の大雨を考慮した避難計画の策定を求めている。
気象庁は午前4時50分、大雨特別警報を発表した。 国に河川ごとの浸水想定区域図策定と自治体への通知も求めており、市町村は地域防災計画に想定区域図を反映する。 当時の千寿園の状況 7月3日16時45分に発表された気象庁の降水量予想では、4日18時までの24時間の降水量は多いところで 200ミリとされていた。
18しかし、「1000年に1度」の豪雨を想定した浸水区域図は公表されているものの、その浸水区域図が実際にどこまで重視されているのでしょうか。 09年の豪雨では、山口県防府市「ライフケア高砂」の7人が土石流で犠牲になった。
ボートで入所者ら約20人を運んだという。
だが、取材に応じた複数の職員によると、関連施設も含め当時5人いた職員はおむつ交換などの業務に追われ、こうした情報を把握できなかった。
「検証が不十分なままでは、諦めがつかない」と言葉に力を込めた。
同省と厚生労働省が球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で14人が亡くなった事態を受けて設置した「高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会」。 午前5時ごろには、園の東側を流れる球磨川支流の水位の上昇を報告し、「ギリギリまできています」と伝えたが、「しばらく様子をみましょう」と言われ、具体的な指示はなかった、と話す。 園は1階の天井部分まで浸水した。
14同時に九地整は12時間262ミリの「80年に1度」の浸水区域図も公表。 大岩さんは近くにいた入所者の女性を片手で担ぎ、浮かんでいたたんすにつかまって救助を待った。
午後10時20分には避難勧告、千寿園のある渡地区で球磨川が氾濫(はんらん)危険水位を超えた4日午前3時半には避難指示を出した。
だが、そのうちの1人は「自分が指定されていることを知らなかった」。
高齢者施設の避難の改善策を2020年度内に取りまとめることを目標にする。
豪雨で水没し、14人が死亡した熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の入り口に置かれた泥の付いた上着=7日午前 別のラフティング会社の男性従業員(36)は4日夕、職員らと4、5人がかりで入所者の女性を車いすごと持ち上げてゴムボートに乗せ、倒れないように支えながら搬送したという。
小川さんは園周辺の地域住民でつくるボランティア「避難支援協力者」のリーダー。
この場合、園自体は浸水せず、周辺の浸水も0・5メートル未満とされており、園はこのケースを考慮した避難計画を策定し、村に提出していた。
境目さんによると、園側は被災状況を説明する中で「計画に沿って避難した」と話した。
同年4月から跡見学園女子大学観光コミュニティ学部コミュニティデザイン学科教授、法政大学大学院、名古屋大学大学院等の兼任講師を務める。
施設内が一番安全な場所だった」と説明したという。
午前4時ごろ、元消防士の男性は周辺を巡回。
「早い段階で職員を集められていれば、入所者全員の避難が間に合ったかもしれない」と悔やむ。
認知症などを患う入所者が冷たい水にぬれることで、パニックになるのを防ぐためだった。
施設長ご挨拶 日頃から、地域密着型特別養護老人ホーム喜寿園・ショートステイ喜寿園・グループホーム光喜園に温かいご支援とご協力を賜り、心からお礼と感謝を申し上げます。
千寿園は周辺から孤立した状態になっていたとみられる。
家族のように接してくれた園の職員には感謝している」 大岩さんは3人兄弟の次男。
この三つの屋外避難場所のうち、浸水を免れたのはさくらドームだけだった。
大岩さんは7月9日にユウコさんの火葬だけを済ませると、葬儀は後回しにして翌10日から村民の生活再建に奔走した。 冷たい水の中で時間がたつのをとても長く感じた」。
18園の約300メートル南には1級河川の球磨川が、すぐわきには球磨川の支流「小川」が流れている。
球磨村が避難勧告を発令した3日午後10時20分以降も、職員が計画通り千寿園に集まることはできなかった。
どうしようもなかったのでは」と声を落とした。
排水施設は、建設が中止されたに代わる治水対策の一環で、国交省が2015年に11億円をかけて整備した。
避難確保計画では避難先も決まっていたが、外出が危険な場合は「施設内での避難」としていた。 また、私共は大津町唯一のやすらぎの郷福祉村として、多職種・専門員が多数在職しているため、大切なご家族に介護が必要となり、ご家族だけでの介護に無理が生じた時は、いつでもご相談に応じることが出来る拠点として皆様のお手伝いをさせていただきたいと思います。
同じころ、避難していた南側別棟前の駐車場が泥水に漬かりだしていた。
危険を感じた職員と近隣住人の計十数人が午前6時前後から手分けして入所者を2階に誘導。
ただ、2階はヘルパーステーションと家族宿泊室の2部屋で、わずか計約130平方メートル。