なお、黒潮大蛇行期や非大蛇行離岸流路となる時期には、四国沖の暖水渦が非大蛇接岸行流路となる時期に比べて西側に分布するため、東経137度線付近では亜熱帯モード水の形成量が少ない()。
1曽我太三・高槻靖・林和彦,2005:東経137度線における1990年代後半以降の北太平洋亜熱帯モード水の変動.測候時報,72,特別号,S131-S138.• 北太平洋に限った話ではなかったのだ。
Gould, 373-386, Elsevier, New York. 水温や塩分を測る使い捨てのセンサーが開発されて海洋観測が充実してきたのは、1970年ころからだ。
出港から9日目。
in Ocean Circulation and Climate, edited by G. 2018年度• 2006年度• 亜熱帯モード水形成域は、大気中から多くの二酸化炭素を吸収・蓄積している海域であり)、亜熱帯モード水は二酸化炭素の輸送過程に重要な役割を果していると考えられます。
亜熱帯モード水の正式名称は北太平洋亜熱帯モード水と言います。 博士論文 Rahmat Hidayat Impact of the Madden-Julian Oscillation on rainfall variability and occurrence of extreme rainfall events over Indonesia 修士論文 阿部 伶美 北太平洋北西部における冬季の海面乱流熱フラックスの長期傾向と経年変動 -OAFlux を用いて- 岡崎 麻佑 過去62年間(1948-2009年)にわたる日本周辺の急発達型温帯低気圧の長期変動 -形成域・発生数・強度・発達率に着目して- 中田 真帆 北太平洋亜熱帯域における永年密度躍層の水塊長期変動• における異なる水塊の例 水塊(すいかい、water mass)とは、、、、などが一様な および陸水 の塊のこと。 1990年代頃までは、気候学的な亜熱帯モード水の形成・循環像を明らかにする研究がなされた。
5概要 [ ] 北中緯度の海面から深さ約1000mまでは、や亜熱帯の海面から沈み込んだ海水が層状に重なった構造をしている。 学位論文 (東北大学 地球環境物理学講座) ・ ・• また、東に行くにつれて、黒潮・黒潮続流によって運ばれる熱が少なくなるため、形成される亜熱帯モード水の水温は低下し、特に伊豆海嶺付近で急激に変化する。
この主水温躍層深度の変動は、アリューシャン低気圧の南北変動に伴う北太平洋中央部における主水温躍層深度の変動が、西方伝播したものである。
Kitamura, 2003 : Long-term variability of North Pacific subtropical mode water in response to spin-Up of the subtropical gyre. 研究調査チームを率いるのは、東京大学・岡英太郎准教授。
2008年度• ,2000)。
これは、アマゾンの森林が1年で吸収する二酸化炭素の3分の2の量に相当します。 冬季にできた水温一定の巨大な水の塊は、ちょうど温かい水で海面にふたをされたような状態で、そのまま海中をすこしずつ南に流れる。 その後、1990年代後半に減少し、それ以降断面積が小さな状態となっている。
14Kimoto, 2009 : Reevaluation of historical ocean heat content variations with time-varying XBT and MBT depth bias corrections. Gruber, 2002 : A short-term sink for atmospheric CO2 in subtropical mode water of North Atlantic Ocean. そして、各測点での塩分極大値と、塩分34. 現実に、海がとんでもない量の熱をどんどん蓄えている。
亜熱帯モード水は以下の過程を経て形成される()。
また、2000年代は、回帰線水分布域の南下傾向がみられる。
冬季には、海面からの活発な熱放出(熱交換過程)や水の蒸発(淡水収支の関係)により海面付近に低温・高塩分な密度の大きい海水ができることによる下層との混合と、海上を吹く風によるかき混ぜの効果とが合わさって、海面からある深さまで水温や塩分が鉛直方向に一様な層(表層混合層)が発達する。
博士論文 安田 珠幾 Circulation Dynamics in the Western Boundary Region of the Subtropical Gyre 山中 吾郎 Numerical study on water mass formation and general circulation in the intermediate layer of the North Pacific (論文博士) 修士論文 小熊 幸子 北太平洋におけるフロン分布と海洋循環の関係 加藤 文人 北太平洋西部亜熱帯・熱帯域における上・中層水塊の約10年スケール変動 細田 皇太郎 準地衡力学下におけるRossby波に及ぼす海底地形の影響 三浦 貴博 ベーリング海における海洋構造と水塊変質過程 宮本 健吾 海面気圧を用いた北太平洋上の海面風応力場の再現• 東経137度線を含む亜熱帯循環西部では、北緯18度以北で極大期・極小期の厚さの差が大きく、分布域の変動が大きい。 採取したこの水は大学へと運ばれ、含まれる二酸化炭素の量などが調べられる。
2博士論文 山口 凌平 Formation of seasonal upper-ocean stratification and its variability 修士論文 WANG, Tong Three-dimensional evolutions of water mass anomalies in the upper North Pacific based on Argo data• 2002年度• 本当、幸せ」 航海から1カ月後。
極大期には、ほぼ同じ南北の幅で西へ広がっているのに対し、極小期には西に行くにつれて南側に狭くなっている。
亜熱帯モード水は、深さ100~400メートルくらいに分布していた。
岡准教授は「僕らは海のことをよく知らない。
図中の赤線は、東経137度線を表す。
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この鉛直一様な海水は、亜熱帯で沈み込んだ海水の一つで、北太平洋亜熱帯モード水(以下、亜熱帯モード水)と呼ばれている。
杉本さんら研究グループ提供 亜熱帯の海中には、周りとあまり混じらずに潜行している巨大な水の塊がある。
東京大学・岡英太郎准教授:「新型コロナウイルスの影響で1年遅れになって、やっとスタート地点に立ったという感じ」 亜熱帯モード水は、世界5カ所で確認されています。 Suga, T. 多くの数値の集まりを代表する値としてよく使われるのが「平均値」。
Garcia, 2002 : World Ocean Atlas 2001, Volume 2 : Salinity. 亜熱帯モード水は、冬季に黒潮続流の南方で作られる。
同じ水温や塩分の値がたくさん得られる水の塊という意味で、「モード水」と名付けられたのだという。
回帰線水の形成には、水循環に関連する淡水収支を反映しているが、モード水とは異なり、観測データの少ない塩分で定義されることから形成過程や長期変動に関する研究は少なく未解明の部分が多い。
亜熱帯循環域北部では、亜熱帯モード水や深さ300~800m付近にみられる北太平洋中層水と呼ばれる水塊が分布しているため、より深くまで二酸化炭素が蓄積しており、1年あたりの二酸化炭素蓄積量が大きくなっています。 また、回帰線水を代表する気候学的な塩分極大層の密度24. Sato, 2012 : The role of meso-scale eddies in mixed layer deepening and mode water formation in the western North Pacific. 杉本さんらによると、その南側にできる亜熱帯モード水も、100年あたり1. Toba, 1988 : Surface thermal conditions in the western North Pacific during the ENSO events. に、東経137度線での回帰線水の断面積極大・極小期での回帰線水の厚さの分布と海面高度の分布を示す。
亜熱帯モード水 大気と海洋が接している海面では、大気と海洋の間で二酸化炭素の交換が行われており、海洋全体としては大気から二酸化炭素を吸収しています。
亜熱帯モード水の変動を監視する指標として等温層の水温や水温の鉛直勾配が極小となる深度の水温、あるいは等温・等深度層の厚さ(分布量)などが用いられる。
(NPSTMW) - 冬季に混合層が発達し、春季に表層の水温上昇により蓋をされることによって形成される。
AAIW• 博士論文 堀井 孝憲 The Morphology of El Nino Events -Regularity and Irregularity from the Viewpoint of El Nino Onset- 修士論文 藤森 恵 大気循環場の変動に対する黒潮と北赤道海流の応答• 参考文献• 熱量にしてみると、ものすごい熱量」 地球温暖化が、さらに進めば、どうなるのでしょうか。
博士論文 ISKANDAR, Mochamad Riza Pathways, timescales and transportof the Indonesian Throughflow, andwater mass transformation in theIndonesian Seas 修士論文 HANANI, Adiwira Seasonal and interannual variationsof Indian Ocean Subtropical ModeWater based on the Argo data 岡本 紗季 インド洋ダイポールモード現象に伴う海面水温および水温躍層の変動 三部 文香 教師なしクラスタリングに基づく中緯度北西太平洋における水温・塩分の鉛直構造の時空間変動 瀬良 将太 熱帯北西太平洋における夏季対流活動の長期変動と大気大循環への影響• 更に、亜熱帯モード水の形成・輸送過程が、海洋における二酸化炭素の吸収や栄養塩サイクルにおける役割を解明する研究が始まっている(Bates et al. いま、地球温暖化で海水温は上昇している。 修士論文 中村 直希 低渦位強度を用いた北太平洋亜熱帯モード水の時空間変動の研究 木村 覚志 冬季・春季の黒潮および黒潮続流上の海面気圧極小 中井 崇人 渦による北太平洋回帰線水の輸送とその塩分分布への影響 村井 優太 北太平洋中央モード水の西方偏位に着目した中規模擾乱による海水輸送の研究• そして、この海洋が蓄えた熱の6割から7割は深さ700mまでの表層に蓄積しているといわれている。
17そこに冬の冷たい季節風が吹きつけます。
AIW• 博士論文 遠山 勝也 Three-dimensional structure of the North Pacific mode waters and central water viewed by Argo 阿部 泰人 Quasi-absolute mean sea surface height field for satellite altimetry data and its utilization for ocean current studies in the North Pacific 修士論文 石川 卓 日平均資料による2タイプのオホーツク海高気圧 岩﨑 藍子 北太平洋における永年密度躍層水の形成とその経年変動 笠井 千愛 南半球における冬季海面水温変動と大気テレコネクションパターンおよび乱流熱フラックス変動との関係解明 坪能 和宏 北太平洋亜熱帯循環域における栄養塩濃度の時空間変動 -水塊の形成・移流過程に着目して-• 今回、観測されたデータは、亜熱帯モード水の上昇傾向を裏付ける形になりました。
近年は、アルゴフロートの展開に伴う観測データの増大、衛星に搭載された海面高度計データの蓄積、中規模渦を表現することのできる高解像度の海洋大循環モデルの発展などにより、時空間的により細かなスケールでの形成・循環過程についての研究が積極的に行われている。
2-5 北太平洋回帰線水の分布(1981年~2010年平均) Ishii and Kimoto 2009 に基づき解析した 水温・塩分のデータセットによる北太平洋回帰線水の塩分極大値を等値線で、厚さをカラーで表す。
「荒れるから(亜熱帯モード水が)形成する」と岡准教授。 2000年度• また、2000年代には、東経137度線の南部を含む西部熱帯太平洋では、海面水位が上昇し、この変化に伴い北赤道海流が南下していることが報告された(Qiu and Chen, 2012など)。
この約10年周期の変動は、主水温躍層が浅くなり、黒潮続流南側から本州南方にかけて低温(本州南方で形成される亜熱帯モード水に比べて)の北太平洋亜熱帯モード水の量が減少したためと考えられる。
修士論文 飯田 瑞生 ベーリング海海氷面積の10年規模変動と大気大循環場との関係 岡田 俊亮 Argoデータおよび海洋再解析データに基づく全球海洋貯熱量変化の時空間特性• などしてくださる()。
修士論文 外内 政行 混合水域における水塊の混合・変質過程 -津軽暖流水に着目して-• 博士論文 細田 皇太郎 Mesoscale variabilities in the interior ocean -Forcusing on effects of bottom topography- 安藤 健太郎 熱帯太平洋の水温・塩分変動の特徴とその大気海洋相互作用および海面高度変動との関連 (論文博士) 修士論文 菊池 健二 南太平洋回帰線水の研究 木本 真理子 北太平洋の塩分極小層 元木 一成 おしょろ丸180度定線資料に見られる海洋表層構造とその時間変動 -中冷水と中央モード水に着目して-• そのほか、主水温躍層が深く、混合層の発達しやすい暖水渦内部で厚い亜熱帯モード水が形成されやすいことも指摘されている Uehara et al. Hanawa, 2000 : North Pacific Tropical Water : Its climatology and temporal changes associated with the climate regime shift in the 1970s. 一説には赤道付近まで広がっているのではないかという話もあるが、その一生についてはわからないことが多い」と説明する。