ひょうけんの魔術師。 冰剣の魔術師が世界を統べる〜世界最強の魔術師である少年は、魔術学院に入学する〜(御子柴奈々)

第三回人気闘兵決定戦

ひょうけんの魔術師

所有属性・水。 村の英雄の魂が宿るとされる水を常に携帯している。 術の発動はこの水を起点に行われる。 『20歳になった者は修行のため村を出なくてはならない』 という慣習に倣い村を出た。 <その他の情報> 弱いモノいじめが嫌い。 言葉遣いは悪いが、良い奴。 『アペルダ』の宿屋で働いている。 街に帰る途中、イーガス率いる盗賊に襲われる。 盗賊の首領で『アペルダ』に帰る途中だったエリスに目をつける。 <その他の情報> 筋肉質で斧を武器にしている。 所有属性・土。 組織『ケルダン』のリーダー。 『ケルダン』のメンバーを増やすため古典魔術師を探している。 <その他の情報> 丁寧な言葉遣い。 術者として高い能力を保有。 」 エリス「ちょっと……何ですかあなた達。 」 イーガス「見てのとおり、盗賊だ。 」 ガル「ん? なんだ?」 エリス「やめて!! 離して!!」 イーガス「盗賊が止めろと言われて止めるわけ無えだろうが! 金になりそうなモンは全部頂いていくぜ!」 エリス「返して!! 返してよ!!」 イーガス「うるせえ奴だ!! このっ!!」 エリス「きゃっ!!」 イーガス「大人しくしてりゃあ命だけは助けてやるぜ! はっはっは!」 ガル「……おい。 」 イーガス「野郎ども! とっととしろ! チンタラしてんじゃねえぞ!」 ガル「おい。 無視してんじゃねえよ。 」 イーガス「あぁん!? なんだテメェ。 」 ガル「コイツ、嫌がってるじゃねぇか。 」 イーガス「テメェ……この女の知り合いか?」 ガル「いや、今初めて会った。 」 イーガス「だったら引っ込んでろ。 俺の斧で真っ二つにするぞコラァ!!」 ガル「弱い奴ほどよく吠えると言うが……本当だな。 」 イーガス「何だと!!」 ガル「間違っちゃいねぇだろ? 俺はな、弱いくせに弱い者いじめってのが気にいらねぇんだよ。 」 イーガス「この野郎……! この人数に喧嘩売ったことを後悔させてやるよ!」 ガル「後悔するのはそっちだ。 『我が命 めい のもと 刃 やいば を模 かたど り 糧となれ』 『氷斬剣 ひょうざんけん 』!!」 エリス「え……?」 イーガス「水が固まって剣になった……!?」 ガル「どうした? 怖気づいたか?」 イーガス「そんなわけねえだろうが!!」 ガル「お前の後ろの連中は震えてるみてえだが?」 イーガス「ひ、怯むな!! 相手は所詮1人、俺達の敵じゃねぇ!!」 ガル「威勢の良さだけは認めてやるよ。 」 イーガス「う、うらああぁあああぁ!!」 == ガル「ふぅ……だいたい片付いたな。 」 エリス「…………。 」 イーガス「おい! お前らしっかりしろ! たった1人相手に何やってんだ!!」 ガル「予想はしてたが、こんなもんか。 残るはお前だけだ。 」 イーガス「この野郎……。 」 ガル「自慢の斧で俺を切るんだろ?」 イーガス「……くっ、覚えてろよ。 」 ガル「逃げた!? 待ちやがれ! ……行っちまったか。 」 エリス「 呆然 」 ガル「まあいいか。 ……おい!」 エリス「え、は、はい!?」 ガル「コレ、アンタの荷物だろ?」 エリス「あ……ありがとうございます。 」 ガル「それじゃ。 」 エリス「あ、あの!」 ガル「ん?」 エリス「何かお礼がしたいんですが……。 」 ガル「そう言われてもな……あ、そうだ。 」 エリス「?」 ガル「この辺に食料が買える街ねぇか? アンタがここに居るってことは街が近くにあるんだろ?」 エリス「ええ、ありますよ。 」 ガル「じゃあそこに案内してくれ。 」 エリス「は、はい。 」 == イーガス「はあ……はあ……なんだったんだ、あのガキは。 氷の剣とか化け物かよ……。 」 サヴァス「 氷の剣……? すみません。 その話、もう少し詳しく聞かせて頂けませんか?」 イーガス「あぁ!? 誰だテメェは!? まさかさっきの奴の仲間か!? ぶった切ってやる!!」 サヴァス「落ち着いてください。 私はただの通りすがりです。 その氷の剣について聞きたいだけです。 」 イーガス「なんでテメェなんかに……。 」 サヴァス「その人物は、なにか呪文のようなものを口にしていませんでしたか?」 イーガス「なんでそれを知ってんだよ!?」 サヴァス「……やはりそうですか。 」 イーガス「おいおいテメエはなんなんだよ! やっぱりアイツの仲間なんじゃねえのか!? あぁ!?」 サヴァス「先程も言いましたが、ただの通りすがりですよ。 その人物はおそらく、水使いの古典魔術師でしょう。 」 イーガス「古典魔術師? なんだそれ?」 サヴァス「おや、耳馴染みの無い言葉でしたか。 まぁお気になさらず。 しかし……大変興味深い。 貴方、名前は?」 イーガス「……テメエの名前から聞かせてもらおうか。 」 サヴァス「これは失礼しました。 サヴァスと申します。 」 イーガス「……イーガスだ。 」 サヴァス「イーガスさん、私と手を組みませんか?」 イーガス「は?」 サヴァス「貴方は再びその人物に会いに行くのでしょう?」 イーガス「あたりめぇだ!! 今度こそ奴を潰す!!」 サヴァス「私も協力いたしましょう。 」 イーガス「……何を企んでいる?」 サヴァス「企みなんてありませんよ。 その人物に興味があるだけです。 」 イーガス「……お前、強いのか? そんなひょろい体して。 」 サヴァス「ええ。 私がどうこう言うよりも見て頂いたほうが早いでしょう。 」 イーガス「?」 サヴァス「『土よ 我に応え 槍となれ』」 「『エルダ・スピール』!!」 イーガス「つ、土が槍になった!?」 サヴァス「どうでしょうか? 私の言葉を信用していただけますか?」 イーガス「あ、あんた一体何者なんだよ!?」 サヴァス「通りすがりの古典魔術師ですよ。 」 == ガル「どのくらいで街に着くんだ?」 エリス「そんなに掛かりませんよ。 そういえばまだ名乗ってませんでしたね。 私はエリスと言います。 」 ガル「ガルだ。 」 エリス「ガルさん、助けて頂いてありがとうございました。 」 ガル「気にするな。 俺がやりたくてやったことだ。 」 エリス「でも助けてもらわなかったら、私、どうなっていたか……。 本当に、本当にありがとうございました。 」 ガル「だからもう良いっていってんだろ。 さっきからそれしか聞いてねえぞ……。 」 エリス「でも……。 」 ガル「はぁ〜……。 分かった。 好きにしてくれ。 」 エリス「はい!」 ガル「ところで盗賊に襲われたのは初めてか?」 エリス「ええ……別の街に届け物があって、その帰りにたまたま遭遇してしまって……。 」 ガル「なるほど。 次からは気をつけるんだな。 」 エリス「そうします……ところでガルさん、今晩泊まる所は?」 ガル「決まってない。 お前の街に着いてから考える。 」 エリス「でしたら私の宿に泊まりませんか? お代は要りません。 助けて頂いたお礼がしたいんです。 」 ガル「そういうつもりで助けたわけじゃない。 」 エリス「ですが何もしないというのは……。 」 ガル「……分かった。 一晩だけ貸してくれ。 」 エリス「ありがとうございます!」 ガル「はぁ……。 」 エリス「あの…………。 」 ガル「今度はなんだ?」 エリス「さっきの剣……どこから出したんですか? じつはずっと気になってて……。 」 ガル「ああ、あれか。 この瓶の水を凍らせて作った。 」 エリス「凍らせて……?」 ガル「そう、凍らせて。 」 エリス「…………。 」 ガル「…………。 」 エリス「どうやって?」 ガル「だからこの水を凍らせて……。 」 エリス「 遮る だから! どうやって凍らせたんですか!?」 ガル「え? あぁそうか、古典魔術は村の外じゃ珍しいのか。 」 エリス「古典魔術?」 ガル「そ、古典魔術。 自然の力を利用した魔術の総称。 そして俺は水使い。 」 エリス「水使い……。 その力で凍らせたんですか?」 ガル「そういうこと。 」 エリス「世界は広いんですね……。 」 ガル「世界が知りたいなら、お前も旅をしてみればいい。 」 エリス「私は宿屋の仕事がありますし、 それに1人で旅に出て襲われたらさっきみたいに……。 」 ガル「無理強いはしねえよ。 でも世界を広げる方法なんていくらでもある。 」 エリス「……ガルさんは大人ですね。 」 ガル「そんな事ねえよ。 ところで街はまだか?」 エリス「もうそろそろ……あ、見えてきましたよ。 あれが私の街『アペルダ』です。 」 ガル「人の出入りが多い……活気があるんだな。 良い街だ。 」 エリス「気に入ってもらえたようで嬉しいです。 陽の高いうちにお買い物を済まされてはどうですか?」 ガル「そうだな。 どこに行けば店がある?」 エリス「この通りをまっすぐ行ってください。 ちょうど市 いち で賑わっている頃だと思います。 」 ガル「了解。 」 == サヴァス「ここが『アペルダ』ですか。 市 いち も賑わっていますし雰囲気もいい……。 」 イーガス「そんな事いまはどうでもいい! それより奴を探さねえと!」 サヴァス「しかし本当にこの街に居るんですか?」 イーガス「俺がやられた場所から一番近い街がココなんだ。 旅をしてる風だったからな。 絶対 ぜってー ココに居る!」 サヴァス「なるほど……。 」 イーガス「……あ! 居やがった!」 サヴァス「どこですか?」 イーガス「リンゴの品定めしてるガキだ! あの野郎……呑気に買い物なんてしてやがる……!」 サヴァス「あの古典伝承品……水使いで間違いなさそうですね。 」 イーガス「こうしちゃいられねえ!! いますぐぶっ潰しに……!!」 サヴァス「待ってください。 」 イーガス「あ!? 離せよ!!」 サヴァス「こんなに人が多い所で争いを起こしてもメリットがありません。 彼が市場 いちば から離れたところで声を掛けましょう。 邪魔が入るのは不本意ではありませんか?」 イーガス「そりゃそうだけどよ……。 」 サヴァス「ならばその時を待ちましょう。 」 イーガス「……けっ! 分かったよ!」 == ガル「活気のある市場 いちば だったな。 手頃な保存食も買えたし、数日はもつだろ。 」 イーガス「よぉ、ガキ。 」 ガル「……誰だ?」 イーガス「さっき会ったばっかりだろうが! この斧が目に入らねえか!!」 ガル「…………あー、お前か。 」 イーガス「コイツ、ほんとに忘れてやがった……!」 ガル「弱いヤツのことなんていちいち覚えてられっかよ。 またやられにきたのか?」 イーガス「そいつはどうかな。 」 ガル「あ?」 サヴァス「はじめまして。 」 ガル「誰だお前。 」 サヴァス「ただの通りすがりですよ。 」 イーガス「さっきは油断したが今度は負けねぇ!! うぉおおおおお!!」 ガル「よっと。 」 イーガス「こらぁ!! 避けんじゃねえよ!!」 ガル「斧が迫って来たら避けるに決まってるだろ。 」 イーガス「さっきの剣はどうした!? 俺はなぁ、アレをぶっ壊すって決めてんだ!!」 ガル「逆恨みにも程がある……。 まぁいい。 相手してやるよ。 『我が命 めい のもと 刃 やいば を模 かたど り 糧となれ』 『氷斬剣 ひょうざんけん 』!!」 イーガス「おおおおおおお!!」 ガル「また真正面から斧を振りおろすだけか。 同じ手が通じるわけ……。 」 サヴァス「『その姿 礫 つぶて となりて 的 まと を撃て』」 「『ペドラ・シュート』!!」 ガル「土の弾!? くそっ……!」 サヴァス「転んで避けましたか。 でも……。 」 イーガス「もらったあああ!!」 ガル「くっ……!」 イーガス「コケた姿勢でよく防いだな。 だが片腕で俺の斧を支えられると思うなよ!」 ガル「……ならば受け流すまでだ。 地面に向けて ふんっ!!」 イーガス「な!? 刀を地面に!?」 サヴァス「ほぅ……。 」 イーガス「ちくしょう、斧まで地面に!! 抜けねぇ……。 」 ガル「歯食いしばれ! 拳を作って うぉおおおりゃあああ!!」 イーガス「ごはっ!!!」 ガル「はぁ……はぁ……。 」 サヴァス「お見事です。 きちんと基礎鍛練を積んでおられるのですね。 剣を敢えて捨てることで反撃の機会を得る。 なかなか出来るものではありません。 」 ガル「あんた、何者だ!」 サヴァス「またどこかで私達と会う日が来るでしょう。 その日まで、さようなら。 」 ガル「…………。 」 =宿屋= エリス「あ、ガルさんお待ちしてました……ってどうしたんですか!? 土まみれじゃないですか!?」 ガル「あぁ……転んだだけだ。 大したことはない。 」 エリス「怪我してるし……手当しますね。 」 ガル「いいよこれくらい。 」 エリス「ダメです! じっとしててください!」 ガル「……ああ、分かった。 」 エリス「…………。 」 ガル「…………なあ、この街じゃ古典魔術って珍しいんだよな?」 エリス「はい。 ガルさん以外に見た事も会った事もありません。 」 ガル「そうか……。 」 エリス「……これでよし、と。 治療終わりました。 」 ガル「サンキュ。 部屋の鍵もらえるか?」 エリス「どうぞ。 」 ガル「ここから次に近い街はどこだ?」 エリス「ここからだと……『バルテラ』ですね。 鍛冶屋さんが多い所で、西に進むとあります。 」 ガル「分かった。 朝になったら起こしてくれ。 」 エリス「はい。 」 =ガルの部屋= ガル エリスの話だと、古典魔術はこの街だと珍しい……。 だが、あの男はおそらく古典魔術師……土使い……。 アイツはいったい……。 とりあえず今は寝よう。 明日起きたらバルテラを目指す。 == イーガス「次回予告。 」 エリス「バルテラ。 そこは鍛冶屋が集う街。 」 サヴァス「そこでガルは1人の少年に出会う。 」 ガル「次回 プリマベイル第2話『武器使い』」 サヴァス「旅はまだ始まったばかり……。 」 第2話に続く ------------------------------ 作者:日陰 なにかあればこちらまで。 サイト掲載日:H25年5月3日.

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第三回人気闘兵決定戦

ひょうけんの魔術師

「おぉ……ここがそうか……やはり、でかいな」 門の前に立つ。 俺はやっと辿り着いたのだ。 あの、アーノルド魔術学院に。 世界で魔術を学んでいる者ならば、この学院に入学することは夢であり、通過点でもある。 世界で活躍している魔術師は、そのほとんどがこのアーノルド魔術学院出身である。 そのため、偉大な魔術師になろうとする者はここへの入学を望む。 そうして俺、レイ=ホワイトもまたこの学院に入学することが可能となった。 試験はまぁ……俺は実は免除されての入学だ。 決して裏口入学ではないが。 実際の試験は筆記と実技の両方らしいが、この学院の基準はかなり高い。 それこそ貴族も多く、それ以外にも魔術師としては名家の子どもが数多く入学するからだ。 その中でも俺は、唯一の一般家庭出身の魔術師らしい。 母も父も、それに祖父も祖母もまた魔術師ではない。 家系に誰一人として魔術師はいないのだ。 稀に起こるらしいのだが、突然変異というやつだ。 俺はこの家系始まって以来の魔術を行使できる人間だった。 そうして俺は紆余曲折あって魔術師を目指すようになり、今に至るのだった。 「いいことレイ。 つらい時は、帰ってきてもいいのよ」 「母さん。 大丈夫だよ。 俺だって、もう魔術師の端くれだ。 覚悟ぐらいは出来ている」 「そうなのね……立派になったわね」 「そうだな。 父さんも嬉しいぞ」 「お兄ちゃん! 来年は私が行くから! 待っててね!」 「あぁ。 もちろんだ」 家族の力押しもあって、俺はたった一人でやってきた。 田舎の小さな家からたった一人で俺は……この学院に……! 実は途中で何度も道に迷ったのは秘密だ……。 そうして俺はこの門をくぐる。 周りからはチラチラと見られているが、そんなことは気にしていない。 うん……おそらく自意識過剰だろう。 それは間違いない。 「ねぇ……あれって……」 「うん……噂のアレじゃない?」 「あぁ。 アレね」 「アレよ……間違いないわ……」 ヒソヒソと話し声が聞こえるも、それは間違いなく俺には関係ない。 アレとは何のことか知らないが、そのまま無視して歩みを進める。 「えーっと……道はこっちであっているのか?」 生徒手帳に付随している地図を見る。 この学院は本当に広い。 普通に歩いていれば迷ってしまいそうなほどに。 もちろん人の波に沿って進めば目的地には辿りつけるのだろうが、一応自分の頭でも把握しておきたい。 そうして立ち止まってじっとそれを見つめていると、後ろからドンッ! と衝撃がやってくる。 「チッ……気をつけろよ」 「あぁすまない。 少し地図を見ていてな」 もちろんすぐに謝罪する。 今回は人が歩いている中で急に立ち止まった俺が悪いだろう。 素直に頭を下げる。 「ん? お前……まさか、レイ=ホワイトか?」 「おぉ! 俺のことを知っているのか? それは心強い。 田舎から出てきて知り合いもいないんだ。 これから仲良くやってほしい」 と、俺はその男に右手を差し出すも……。 バンッ! とそれは払い除けられてしまう。 「は……テメェ、この学院始まっての 一般人 ( オーディナリー )出身だろ?」 「そうだが……何か問題でもあるのか?」 その男、加えて他の取り巻きもまたニヤニヤと俺を見つめる。 「分かっていないのか? ここでまともに生活したいなら、最低でも魔術師の家庭が条件だ。 それこそ、 貴族 ( ノーブル )であることが望ましい」 「むむむ……? どういうことだ? すまない。 魔術師の世界にはまだ疎くてな。 詳しく教えてもらえると助かる」 「はっ……そんな面倒なことするわけねぇだろ。 ま、せいぜい頑張れや。 期待してるぜ、 一般人 ( オーディナリー )よ」 そうして彼らはスタスタと歩みを進めてしまう。 俺としては早く友人をゲットしたかったのだが、こればかりは仕方がない。 相手にその気がないのならば、無理強いするのも悪いというものだろう。 「ね、君さ……」 「ん? 何か用か?」 「その、話し声が聞こえてきてさ……あ! その前に自己紹介ね。 私はアメリア=ローズよ」 「ミス・ローズ。 これはどうも。 俺はレイ=ホワイト。 気安くレイで構わない」 「私もアメリアでいいわ。 同じ新入生だしね」 「そうか。 ならよろしく頼む、アメリア」 「さて、と。 ここで立ち止まっているのも、よくないし。 話しながら行きましょう」 「あぁ助かる」 俺はアメリアと共に歩みを進める。 アメリア=ローズ。 長い紅蓮の髪が特徴的で、さらに 灼眼 ( しゃくがん )のその双眸はどこまでも透き通っており、純粋に美しいと形容すべき容姿をしていた。 それに見るからに活発そうなのはすぐに理解できた。 プロポーションもよく、女性にしては背が高い。 俺が180センチ弱だから……170センチはあるのか。 スラッとした身長もそうだが、何よりもその立ち振る舞いに気品というものを感じる。 そういえば、ローズという名前には聞き覚えがあるが……。 「あなたこの学院始まっての 一般人 ( オーディナリー )らしいわね」 「そうだ。 突然変異の一種らしくてな」 「へぇ……そうなんだ。 これから困ったことがあったら、何でも相談してね」 「それは助かるが、アメリアは親切だな」 「ちなみに私のこと、知らない? 実は有名人なんだけど……?」 「いや申し訳ない。 君のことは先ほど初めて知った。 浅学で申し訳ないが、教えてもらえると助かる」 「そうなんだ。 でも、 一般人 ( オーディナリー )に浸透していないのは当然かもね。 えっと……で、魔術師の中に貴族がいるのは知っているよね?」 「あぁ」 「その中でも三大貴族って聞いたことない?」 「! ピンときた。 まさか、君の家がそうなのか?」 「そう。 ローズ家は三大貴族筆頭。 ちなみに私はこの学年の首席よ」 「おぉ! そんな英傑とこうして相見えることができるとは……サインをお願いしても?」 「いいけど……レイって変わってるよね……」 「そうか? まぁ、とりあえずこの色紙に頼む。 あと妹の分も……」 「意外と主張激しいわね。 ま、いいけどね。 悪い気はしないし」 そうして俺は持参していた色紙にサインを書いてもらう。 こんな時のためにサイン色紙とカラーペンを忍ばせていてよかった。 「はい。 どうぞ」 「おぉ! すごい! 達筆だ!」 「まぁ一応有名人だからね〜」 アメリアも満更でもないようで、少しだけ鼻が高い様子だった。 「それにしても、あなた……大丈夫なの?」 「ん? 何がだ?」 「さっき、嫌がらせされてなかった?」 「? いや別に。 ただ挨拶は拒まれたがな。 いや、都会の挨拶はなかなかに難しいな。 やはり俺の作法が間違っているようだな……うん、勉強になる」 「レイが気にしていないならいいけど……くれぐれも気をつけてね」 「何がだ?」 「この学院は派閥争いが激しいの。 それこそ、どの派閥に所属するかで卒業できるかどうかが決まるように。 だから三大貴族は特に優遇されるの。 自分でも言うのもなんだけどさ。 そんな事情だから、 一般人 ( オーディナリー )のあなたはきっと……大変だと思う」 「ま、そんなことはいいさ。 派閥だろうが、なんだろうが、俺はこの学院生活を謳歌したいと思う」 「前向きね。 それとも能天気なだけかしら?」 「ふ……後者に一票だな」 「ふふ、何それ! あはは、ちょっとあなたのこと気に入ったかも」 「そうか? 田舎から出てきて友人はまだいない。 アメリアが学院での初の友人になってくれると助かる」 「そう言われると、ちょっと照れるけど……そうね。 これから友人としてよろしく」 「あぁ」 今度はがっしりと握手を交わす。 「そういえばレイは知ってる?」 「ん? 何をだ?」 「 冰剣 ( ひょうけん )の魔術師の噂」 「……いや存じないな。 詳しく聞いても?」 「数年前に現れた、天才魔術師。 特に氷魔法に長けていてついた二つ名が、 冰剣 ( ひょうけん )の魔術師。 既に、世界七大魔術師の一人とも言われているわね。 曰く、氷魔法の真髄を極めているとか……」 「……そいつがどうかしたのか?」 「実は今年の新入生の中にいるかもっていう噂なの。 でもありえないよね。 そんな人がわざわざ学院に来るとは思えないし」 「……そうだな」 そうして俺たちはその後も適当に雑談を繰り広げながら、入学式が行われる講堂に向かうのだった。

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プリマベイル 第1話 水を操る者

ひょうけんの魔術師

CV:佐藤正治 第一の房・ 万針房の番人。 仁王流拳法の使い手。 隻眼に巨体という、鬼のような姿をした男。 万針房では富樫に 「男とはなんぞや…!? 」と問いかける。 その答えを示すための攻撃を避けもせず顔面で受け止め、富樫を認めると潔く房を通した。 飛燕と戦い、その力で一度は勝負をあきらめさせるほどに追い詰めるが富樫の血闘援で奮起した飛燕に技を破られ脱出される。 なおも飛燕を追い込み、嬲り殺しにしようとしたことで飛燕を完全に怒らせてしまい、死の恐怖を受けながら濃硫酸の池に落下した。 天挑五輪大武會ではまず、予選リーグ二回戦・戦で鎮獰太子と対するが、またしても死穿鳥拳を破られ敗北する。 この時は命を取り留めており、後に決勝トーナメント準決勝・戦で再び登場。 突如魔術師風のキャラとなり、 「地獄の魔術師 ヘルズ・マジシャン 」を名乗る。 地獄の魔術で酔傑を翻弄し勝利するが、命を落とさぬように手加減をしたのが仇となり酔傑のだまし討ちで致命傷を負ってしまう。 死を覚悟したディーノは最後まで諦めない真の男塾魂を後輩たちに残し、酔傑を道連れに滝壷へ飛び込み命を落とした。 彼の最後は数ある男塾の戦いの中でも屈指の名シーンと言われる。 西洋的な文化を排除する男塾において、何故彼の西洋かぶれが許されていたのかは不明。 3人揃ってダルマ彫った二の腕をグッと突き出すコマがむさくるしくて最高に好きw -- 名無しさん 2014-06-25 22:03:56• 男爵ディーノは西洋かぶれだが何故か下着は褌である -- 名無しさん 2014-06-25 22:14:53• 微妙な咬ませ感。 独眼鉄は -- 名無しさん 2014-06-25 23:31:45• 独眼鉄は初登場と最期だけ漢、あとはヘタレと言う意味不明なヤツ。 -- 名無しさん 2014-06-25 23:33:30• 妙に好きなんだよな、こいつら。 本編でもっと活躍しても良かったと思う。 -- 名無しさん 2014-06-26 00:38:53• ディーノは一応、日系人らしい。 三号生は比較的規制が緩いんだと思う。 天挑五輪の為とはいえ邪鬼を10年もダブりにさせてるぐらいだしv -- 名無しさん 2014-06-26 00:44:32• 二度と帰ってこなかったディーノ。 男塾で『命の重さと尊さ』を感じさせてくれる貴重な存在。 -- 名無しさん 2014-06-26 02:17:35• 空より高くの男塾同窓会シーンに眼鉄がこっそりいるから、多分あと二人も生きてる -- 名無しさん 2014-06-26 13:51:29• 確か独眼鉄とディーノは別作品で生存確認出来た筈。 蝙翔鬼はどうなんだろう? -- 名無しさん 2014-06-29 20:19:10• その二人が生きてるんだから蝙翔鬼も生きてるんじゃないかな -- 名無しさん 2014-06-29 20:43:17• 紫電房とか電気技術と陸上競技の知識が無いと成立しないし、そんなに歴史のあるトラップでもないと思うんだよね。 たぶん今の三人衆が守りにつくまで、何度かトラップのマイナーチェンジが施されてきたんだと思う。 -- 名無しさん 2014-07-07 17:55:03• コイツら普段廊下で寝泊まりしてるんだろうか -- 名無しさん 2014-09-04 00:03:22• 蝙翔鬼も極道高校2011で生存確認された -- 名無しさん 2014-09-12 22:33:39• ディーノはものすごいスピードで刺青彫ったのかな、他二人も大概早いが -- 名無しさん 2014-10-12 22:58:15• たぶんBCG注射みたいにグッと押してダルマが刻まれるバンドみたいなのがあるw -- 名無しさん 2015-07-17 17:07:12• 極男塾でも続々死亡しているもよう。 こりゃディーノもまずいんじゃないか -- 名無しさん 2015-10-08 14:01:25• 「ゾリンゲン(ゾーリンゲン)」というドイツの都市は実在する。 しかも名産は刃物。 -- 名無しさん 2017-10-18 10:34:49• 最近の外伝で見事持ち前の頑丈さを活かして勝利した独眼鉄、しかし刀剣や鋼線をものともしない鋼の肉体を難なくぶち抜くとか、宗嶺厳は予選二回戦の大将とは思えんほどヤバい奴やったんやな。 -- 名無しさん 2019-09-26 17:14:57• 邪鬼が投げたナイフをノールックで背中越しにキャッチする独眼鉄は割とカッコいいのだが、あまり話題にならない -- 名無しさん 2019-09-26 20:28:31.

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