清水にお参りに行こうとして途中で帰ってきた仁和寺の法師といい、兼好はこういう世間で尊敬されている人の失敗談が好きなようです。
この獅子の立ちや う 、いとめ づら し。 都のつとに語らん。
もしそうだとすると、そこから導き出されるのは、「感動して人に話す前にきちんと事実を確認しなさい」という身も蓋もないものになってしまいます。
ここで終わっていればこの一行も幸せな帰路につけたでしょう。
俗名は卜部兼好(うらべかねよし)。
京からはるか遠い出雲大社にはそうそう行けません。 意味は「さあ、行きましょう・さあ、いらっしゃい」。 」と涙ぐみ て 、「いかに、殿 ばら 、 殊勝のことは御覧じとがめず や。
14」と言はれければ、「そのことに候ふ。 しだのなにがしとかやしる所なれば、秋のころ、聖海上人 しやうかいしやうにん、その外 ほかも、人あまた誘ひて、「いざ給 たまへ、出雲拝みに。
「あなたたちにはこの獅子や狛犬の、他との違いが分からないのか!この出雲神社ならではの素晴らしさが。
いたずらな子供たちがいたしました、けしからんことです。
わざわざ、こんなことを兼好法師は書くのですから、上人に対する厳しい観察眼が文章に現れていると思います。
御前なる獅子・狛犬、背きて、後ろさまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。 6 造れり ラ行四段動詞「造る」の已然形+存続の助動詞「り」の終止形。
4」とて、具しもていきたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。 」とて、さし寄りて、据ゑなほして去 いにければ、上人の感涙いたづらになりにけり。
=上人の 感動の涙は無駄になってしまった。
この獅子の立ち方は、たいそう珍しい。
出雲大社を分霊して、立派に建造物を作ったということです。
この獅子の立ちっぷりは、大変珍しい。
』ってなるかもしれません。
なにせぼた餅をごちそうになっているのだから、と。
」と言うので、 おのおのあやしみて、「まことに他にことなりけり。
」と言はれけ れば、 =「この神社の獅子のお立てになられようは、きっと しきたり(由緒)のある事でございましょう。 6 学習活動 伝統的な言語文化について自分の考えをもち、論理の構成や展開を工夫して意見を述べる力を身に付ける -秀歌を選び、ディベート風歌合をする- 教 材 万葉集・古今集・新古今集 7 学習活動 物語を書き換えることで、対象を新たに認識・把握して、表現する力を身に付ける -古典作品を新聞記事に書き換えよう- 教 材 徒然草(「丹波に出雲といふ所あり」第236段) 8 学習活動 古文を自分自身に結び付けて読む -徒然草の教訓を手掛かりに考える- 教 材 徒然草(「公世の二位のせうとに」第45段、 「高名の木登り」第109段) 9 学習活動 古人の世界観や価値観を理解し、古文を読む力を付ける -外国人に古人の世界観やものの見方、考え方を説明しよう- 教 材 宇治拾遺物語(「田舎の児、桜の散るを見て泣くこと」) 10 学習活動 「群読リレー」によって人物の読みを深める -木曾の最期をグループリレーで群読する- 教 材 平家物語(「木曾の最期」) 11 学習活動 俳句の描写を味わう -俳諧の描写でテーマを伝えよう- 教 材 奥の細道(「旅立ち」「立石寺」) 12 学習活動 現代語訳の論理を聞き取り再現する -故事の論理を追おう- 教 材 「守株」「推敲」「五十歩百歩」「矛盾」「蛇足」「虎の威を借る狐」. 狛犬は高麗渡来の犬。 「しだのなにがし」という地主?が上人やその他大勢の人を誘って、丹波の出雲神社へ参拝に行きました。
丹波 【注1】に 出雲 【注2】といふ所あり。
以下に平成21年度の実践・研究を通してまとめた、授業の具体的事例を掲載します。
2 出雲 地名。
都のつとに語らん。
大社 【注3】を 移し 【注4】て、 めでたく 【注5】 造れり 【注6】。
獣をかたどり、魔除けとして置かれた。
実際の授業実践例であり、利用しやすい内容になっていますので、積極的に活用してください。
」と言へば、各々怪しみて、「まことに他に異なりけり。
」など言ふに、 =それぞれ不思議に思って、「本当に他と異なってい るよ。 大社(おほやしろ)を移し て、 めでたく造れり。 画像とPDFの好きな方をご覧ください。
」言へば、 =「なんと皆さん、(こんな)素晴らしい事にご注目 なさらないのですか。
上人なほゆかしがりて、おとなしく物知りぬべき顔したる神官を呼びて、「この御社の獅子の立てられやう、定めてならひあることにはべらん。
まぁ、本当にすごいパターンもありますが、私はその話を聞いている時、ちょっとこの話を思い出して、こちらが気恥ずかしくなってしまいます。
もしかしたら、彼らは獅子や狛犬の一般的な立ち方さえ知らなかった可能性もあります。
「む(ん)」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 」と上人に賛同します。
あまりにひどすぎます。
しだのなにがしとかやしる所なれば、秋の比(ころ)、聖海上人(しょうかいしょうにん)、その外も、人数多(あまた)さそひて、「いざ給へ、出雲拝みに。
ちと承らばや。