日本では過去の適応の甘さへの反省から、近年、IVCフィルタの使用が厳格化。 しかし、稀ですが回収可能型フィルターの場合でも、回収を試みても回収が困難な場合があります。
超音波検査や造影CT より直接的に深部静脈血栓症を診断するためには、超音波検査や造影CTが有効です。
血液の流れに乗った血栓は、心臓を介して肺動脈に入り込み、同部位で詰まります。
製造方法を工夫し、より壊れにくくなったIVCフィルタ 新しいフィルタは取っ手部分とフィルタが一体となっているため壊れにくく、患者さんの状態に応じて留置期間を延長することが可能で、より低リスクに肺塞栓を予防することができる。
これを防ぐために深部静脈血栓症が疑わしい場合、血管超音波で検査して血栓が見つかれば下大静脈で血栓を捕まえるためにフィルターを留置する処置を行います。
なお、肺塞栓症の診断に際しては、肺換気血流シンチ、心電図、心臓エコーなども行われます。 静脈に形成された血栓がなんかの拍子ではがれると、血液循環に乗って全身に流されます。
誘因 これらの血栓症は長期にわたる安静臥床や下肢静脈血流の停滞、肥満や婦人科疾患などにより下大静脈から腸骨静脈が圧排されることにより生じます。
パソコンを使用したデスクワーク• 従来のフィルタは長期間留置すると、フィルタと体内組織が癒着(炎症によりくっつく)、回収しきれなくなるめ、安全に回収できる期間は数週間程度が目安。
歩いたりすることで下肢の血液の流れがよくなりますが、この時、下肢に血栓があると下大静脈から肺動脈まで流れて肺塞栓症を起こしてしまうことがあります。
新フィルタ導入を決めた澁谷・心臓血管外科部長 肺塞栓症とは、血管内の血栓がはがれるなどして突然、血管が閉塞する静脈血栓塞栓症(VTE)の部分症のひとつ。 下大静脈フィルターでは、下大静脈にフィルターを留置し下肢からの深部静脈血栓をあらかじめキャッチし、肺へ飛ばないようにする予防方法です。
14しかし、血栓が広範囲にある、抗凝固薬に禁忌がある、抗凝固薬の効果が薄い場合などには、下大静脈(血栓のできやすい下肢と肺の間にある大きな血管)にフィルタを留置し、流れてきた血栓を物理的にキャッチする予防法を選択することがある。 下大静脈フィルター留置術の実際 実際に多量の血栓が捕獲された下大静脈フィルターの写真 足の付け根、もしくは右頸部を消毒・局所麻酔を行い、静脈を穿刺し管を挿入して造影剤により血栓の位置確認を行い、留置位置を決定したのちフィルターを留置して手技は終了です。
抗凝固療法• 悪性腫瘍の治療中 それ以外にも、期間中、先天的に血液が固まりやすい病気、悪性腫瘍などに関連して深部静脈血栓を発症することもあります。
続発症として肺塞栓症を生じることがある 深部静脈血栓症では、続発症としてを発症することがあります。
治療 深部静脈血栓症及びの治療には、以下が挙げられます。
で足の麻痺などの長時間動かないこと• 肺塞栓症を発症すると、呼吸困難、呼吸時の胸の痛み、を発症したときのような前胸部の不快感や圧迫感を覚えます。 治療手技の目的 静脈内血栓および外傷や手術時の脂肪やコレステロール、空気などが肺動脈に飛ぶと肺塞栓という致命的な合併症を引き起こす可能性があります。
12下大静脈フィルター できて間もない血栓なのか、肺塞栓症を発症しているかなどの状況を見極めつつ治療方針を決定します。 必要に応じて一時的フィルターか永久フィルターを留置します。
同フィルタの導入を決定した澁谷卓(しぶやたかし)・心臓血管外科部長は、「新フィルタは挿入手技の難易度や侵襲の程度などについては従来品と変わらず、長期間留置後も壊れることなく回収可能というメリットだけが増えます」と、使用の意義を強調する。
刺入部疼痛•。
吹田病院に関しては以前から非常に厳しい適応判断の下、同フィルタを使用している。
血栓溶解療法• 留置後最長2週間以内であれば回収することは可能です。 でのギブス固定• 下肢に生じた場合は、下肢に腫れがみられます。
フィルタがキャッチした血栓は薬剤で融解させるが、この程度の期間では融解しきれないこともあり、従来品を使用する際は、塞栓リスクが残っている状態でフィルタを回収するか、癒着のリスクを冒して留置を継続するか、難しい選択を迫られていた。
第一選択は薬物療法で、抗凝固薬が有用。
吹田病院心臓血管外科は循環器内科とも協働し、心臓や大動脈だけでなく、末梢(まっしょう)血管、頚(けい)動脈疾患、静脈疾患も含めた血管疾患全般を集学的に治療している。
病院でのベッド状安静• 入院時点でフィルター使用群と非使用群にランダム割り付けして比較すればこの問題は起こらないが、レトロスペクティブにコホートを比較する場合、入院からフィルター設置までの期間に発生した死亡イベントは、全て対照群に含まれることになるためだ。
13検査・診断 血液検査 深部静脈血栓症は、血液検査によるD-ダイマー測定、超音波検査や造影CT検査といった画像検査をもとに診断されます。 同院心臓血管外科スタッフは澁谷部長、金香充範院長を含め全員が大阪大学医学部心臓血管外科の出身で、「阪大医学部附属病院とのパイプを生かし、今後も最新情報を収集、適宜、診療に取り入れ、安全性向上を図りたい」と澁谷部長。
IVCフィルタをいまだ長期留置する医療機関もあるが、吹田病院では全例回収が基本方針。
そのためimmortal timeバイアスを考慮する必要がある。
同フィルタは突然死の原因にもなる急性肺塞栓の予防には適しているものの、長期間体内に留置すると、かえって塞栓など合併症を引き起こすこともあり、予防の必要がなくなれば速やかな回収が必要だ。
米胸部専門医学会や米心臓協会、放射線科医学会、英血液学標準化委員会などは、抗凝固薬が禁忌のVTE患者には、IVCフィルターの適用を検討することを推奨している。 フィルターの移動• 外科療法• このため、すでに血栓がある、もしくは周術期など血栓形成リスクが高い患者さんには予防策が必要だ。 近年、肺塞栓症をひとつの独立した疾患としてではなく、下肢や骨盤内などの深部静脈に血栓ができる深部静脈血栓症(DVT)と、それによって引き起こされる数々の連続した病態の一部という疾患概念が登場し、注目を集めている。
血液は一カ所に滞ると固まる性質を有しているため、結果として深部静脈血栓症が発症します。 こうした検査によって、どの部位にどの程度の血栓が存在しているのかを評価できます。
D-ダイマーは血栓が形成・溶解されることに関連して生成される物質であり、身体のどこかで血栓が存在していることを間接的に評価するマーカーとなります。
造影剤や局所麻酔によるアレルギー、ショック• 上肢に生じた場合には、上肢に同じような症状が生じます。
カテーテル治療• 本来は下肢を動かすと、下肢の筋肉がポンプの役割を果たして血液が重力に逆らうかたちで心臓へと戻るように促されます。
当院では肺塞栓を起こす前に血管の超音波などを行って事前に深部静脈血栓を見つけ、その血栓が肺まで流れていかないように下大静脈にフィルターを留置しています。
近年では新しい抗凝固療法として、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンといった経口薬を使用することがあります。 その事態を未然に防ぐために下大静脈フィルターという円錐型の金属の金網を下大静脈内に留置します。
フィルターによる血栓形成など 留置するフィルターは永久留置が可能なものですが、基本的には異物であるため長期留置により血栓形成や、稀に下大静脈損傷が生じることがあります。
深部静脈血栓症は下肢に生じることが多いです。
これらは従来の治療方法に伴う食事制限や用量調整の煩わしさといったデメリットを克服する治療方法として、使用され始めています。