もっとも、『寝ても覚めても』は決して難解な作品でも、解釈のバリエーションの多さに戸惑うような作品でもない。 実際のところ、数々の参照点を含めて「語りしろ」の多さというのは濱口竜介作品の大きな特徴であり、『寝ても覚めても』もその例外ではない(本作では作中に出てくる牛腸茂雄の写真やチェーホフとイプセンの演劇が鍵にもなっている)。
また、そこでの主人公の行動原理に共感を覚えるかどうかは別として(少なくとも男性は唖然とする人の方が多いのではないか)、作中における時間は直線的かつ不可逆的に流れていく。
主要キャラクター3人の友人である周囲の人々の言動にも、何ら謎めいたものはない。
それ以外にも、『ハッピーアワー』の劇中に出てきたような、手や頬を触れる身体接触というものもやりましたね。
作品について、映画業界関係者は語る。
濱口監督の独特な演出方法や、お互いの印象などについて語り合ってもらった。
映画好きの間で頻繁に名前が挙がる自国の監督が長らく固定化していた(例えば、是枝裕和や黒沢清が国外の映画祭での受賞などをきっかけに広く注目されるようになったのはもう20年以上前のことだ)日本にあって、『寝ても覚めても』と『きみの鳥はうたえる』の「同時公開」は、間違いなく新しい時代の到来を告げる「事件」だった。
スリリングな展開が観るものに衝撃と共感を与える「大人の恋愛映画」の傑作がここに誕生!. 唐田えりか(以下、唐田):オーディションは、濱口さんと世間話をするような形式でした。
そのまま突っ走っていけばいいのに、最後にヒロインが正気に戻っちゃって贖罪している。
一人は浮世離れしたわけのわからない男だけど、芸能界で成功していく。 1人の女が「1人目の男」と出会い、それから2年と少し経って「同じ顔をした2人目の男」と出会い、さらにその5年後に「1人目の男」と再会し、その後……という約8年間の年月を跨いで描かれるラブストーリー。
それだけのオーディションだったので、私自身はあまり手応えを感じないまま終わってしまったのですが、受かったと聞いたときは、うれしい気持ちを通り越して真っ白になってしまいました。
ヒロインはサラリーマンと平穏な家庭を築くところだったのに、それをぶち壊して、浮世離れした男に走ってしまう。
ーー濱口監督にはどんな印象を抱いていましたか? 東出:濱口監督の前作『ハッピーアワー』が公開されたときには、すでに『寝ても覚めても』に出演することが決まっていたので、自分が濱口組に入るとわかった上で作品を観て、愕然としました。
それがいわゆる巷に溢れている他のラブストーリーと似ているかどうかは別として(似ている部分はほとんどない)、言葉本来の意味において純然たるラブストーリーであることは間違いない。 芥川賞作家・柴崎友香の同名小説を原作に持つ本作は、同じ顔をした2人の男ーーミステリアスな自由人の鳥居麦と実直なサラリーマンである丸子亮平ーーの間で揺れ動く1人の女性・泉谷朝子の姿を描いた恋愛映画だ。
東出は一人二役。
石田法嗣との最初の出会いとなり、彼に向けられる眼差しは、今後の作品で重要な位置を占めることを予感させる。
唐田も下手なのが、何を考えているのかわからない女の子の透明感を際立たせています。
KはKoreanで韓国のことを意味しており、同様にMもMandarinで中国のことを意味しています。 で、EXO-KとEXO-Mがひとつであるということを意味しています。
16結婚を発表したカップルと友人たちの関係に変化が訪れる。
「濱口さんはすごい才能のある監督です。
それを非現実的な展開で描いています。
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なにしろ、原作小説で「同じ顔」として文字だけで表現された人物を、映画の中ではまったく同じ人間=東出昌大が演じているのだから。 唐田:濱口監督は「一に相手、二に台詞、三四がなくて、五に自分」ということをすごく言われていましたね。
どちらかというと、早くあの空間に行きたいなという楽しみな気持ちの方が大きかったです。 主演・東出昌大が、同じ顔をしていながらも全くタイプの違う男・亮平と麦(ばく)という一人二役に挑み、新星・唐田えりかがヒロイン・朝子を演じる。
電車が登場することの多い濱口作品の中でも際立って多彩な電車が登場する点も注目したい。
唐田さんはもともとモデル志向で演技の経験が浅かったところを、『寝ても覚めても』で濱口監督からヒロインに大抜擢されてカンヌ映画祭まで行った。
濱口映画の根幹を担う対話が、韓国語と日本語で交わされることによる壁をはじめ劇中には境界線が張り巡らされているが、題名にもある深度を増すことで境界は消えていく。