具体例 2 指数関数が上のように表せるのなら ,その逆関数である対数関数についてもどうなるのか試してみたくなる. 項の数、つまり次数を増やしていくと、次のような近似結果が得られます。 公比 の絶対値が 1 未満でなくてはならなかったので ,それを引きずっている以上は の範囲も でなければならないだろう. 当然、考慮する項数が多いほど、つまり多項式の次数が上がるほど近似の精度もよくなっていきます。
8) したがって、 が求めるTaylor展開となる。
近似値とは? 近似値とは、 真の値に近い値のことで、次のようなときに真の値の代わりに使用されます。
交項級数は各項の絶対値が単調減少で 0 に収束するなら収束することが言えるのである. なお、いずれもマクローリン展開。
「テイラー級数による近似」「テイラー展開による近似」とも呼ばれます。
これらの関数が単純な和で表現できてしまうのはなかなか面白いだろう. だとすれば が を離れるほどにどんどん項の数を増やしてやることにすれば ,ずれがどんどん補正されて正確な値に近付くわけで ,実際のところは は の近くの値だと限らなくてもいいのではないだろうか. なぜ成り立つのか 1 式をどのようにして思いつくことができるのかという説明は面倒だが , 1 式がなぜ成り立つのかを説明するのは簡単である. 誰でもわかると思いますが、これをそのまま計算したら大変なことになります。
12まぁ ,ここでは というのは の意味であるし , をただの という記号で書いておくことにすれば普通の関数に見えるだろう. その結果、次のような複雑なテイラー展開の式になるというわけです。
テイラー展開の応用例と公式一覧 オイラーの公式 テイラー展開を使うことでオイラーの公式という不思議な式を簡単に導くことができます。
また としたときの剰余項の大きさが限りなく 0 に近付くようなら ,項を増やすことによって誤差が減っていくことを意味している. テイラー展開は、このように、 微小な量 x-a の多項式 の形にするところがポイントです。
高校および大学初年度程度の教科書は「解ける問題」を厳選して載せている。
e xは何回微分しても同じなのでテイラー展開が比較的簡単に計算できると思います。
このo(x 3)の意味 は、x 3 より速く0に収束する(x 3 より高位の無限小)という意味です。
有限の項までで止めておいて ,最後に「 剰余項」と呼ばれる項を付けておくのである. 具体例 4 ここまでの例とは違って ,何度か微分したら 0 になってしまうような関数をテイラー展開してみたらどうなるのだろうか. つまりは線形近似とは「1次式で近似する」もしくは「グラフが直線だと近似する」ことになる。
テイラー展開の直感的イメージ・式の意味・使い方の解説でした。
数学の教科書では正確さを重んじるのでもう少し気を使った書き方になっているはずだ. このように展開された形のことを、 テイラー級数と呼びます。
収束しない場合を「発散する」と表現する。
近似式の計算など活躍する 場は多い。
相対論では物体のエネルギー と運動量 の関係が次のようになっていることが示される. , c nの部分に数値が入っているものです。
この式は物体が光速に近い時にも成り立っているのだが ,物体が極めて遅い場合 ,つまり が 0 に近い場合にはテイラー展開で表すことができそうだ. いろいろな工夫が知られているが、微分方程式を利用したTaylor展開の方法がとてもエレ ガントであると思う。 この展開は、 平均値の定理の一般化である「Taylorの定理」から得られる。 と で収束するかどうかは , の値によって様々に変わってくるのだが ,細かいことなので省略しよう. というかんじに書けますね。
慌ててパソコンに計算させて ,値が徐々に円周率に近づいてゆくことに感動した日のことを今でも良く覚えている. もう少しまじめに関数を近似するのが「線形近似 linear approximation 」である。
近似でよく利用される形 1 式に繰り返し出てくる の部分は からの微妙なずれ具合を表している. これを応用したのが原子力発電とかですね。
ここから続けて二度三度と微分をしていくと項がどんどん増えて行って手に負えなくなってくる. 2階微分まで計算してみます。
テイラー展開を使うことができればこんな難しい式も簡単に導くことができます アインシュタインの質量エネルギーの式 物理学で一番有名な式といえば、アインシュタインが発見した質量エネルギーの式だと思います。
そのどこかに ,必ずこの等式を正確に満たす があるはずだという「 テイラーの定理」としてまずこの式が登場するのである. ところが、関数 sin X の X=0 におけるTaylor展開 を知っていれば、上記の極限値の計算は、難しい計算をしなくても即答できる。
18ところで式の中にある運動量 がベクトルで表されているのでどう扱ったものかと悩むかも知れない. このようにして 1 式の右辺がちゃんと収束するかどうかの判断材料としても使えるのである. a が定数だから、代入して求めたf a も定数なわけで、 この書き方だと、f x を定数で近似してるわけです。 ところで ,初項が ,公比が の等比数列の和は , であった. これが確認できたら ,次は 2 式に対して同じことを繰り返してみよう. 音楽理論との絡みでそのような名前が付けられたという歴史がある. つまり におけるこの関数の値 ,この関数のグラフの傾きの値 ,2 階微分の値 ,3 階微分の値・・・ ,そういった情報はみんな持っているのだとする. 今後、手に負えない複雑な式を解析する必要が出た場合は、是非テイラー級数近似で単純化してみてくださいね!. しかもめっちゃ多いねんで」ってアインシュタインが言ったのが質量エネルギーの式です。
このようにテイラー級数近似は、 関数や基準点によって近似の精度が大きく変わります。
これはつまり ってことであり ,運動量の定義が だということを考えれば. その一見面倒なだけに思える表現の裏に隠された存在理由に気付くことができたとき ,その用意周到さには本当に感心するのである. とにかく 5 式の収束半径は 1 で , では収束 , では発散するのである. 問題 次の関数の X=0 におけるTaylor展開を求めよ。
以下では雰囲気の紹介程度に具体的な使用例を並べておくことにしよう. とは言うものの ,今回説明したテイラー展開の定義をそのまま使って計算しようとすると ,微分するごとに式が複雑になり過ぎてどうしようもなくなるのである. 1 の階乗は 1 だし ,0 の階乗も 1 だということを思い出せば ,右辺の全ての項が全く同じパターンでできていることが分かる. 調和級数の各項は単調減少で 0 に収束するにも関わらず ,無限大に発散することが知られている. 右辺にある や や などには定数 が代入されているので ,もはや の関数ではない. 1 式の右辺は ,収束半径の内側では正しい値に収束し ,外側では発散してしまうのである. (追記) 当HPの掲示板「出会いの泉」に、平成24年2月15日付けで、HN「ethanhunt」さ んが質問を書き込まれた。