李良枝。李良枝とは

李良枝とは

ことばの秘密に迫ろうとする者は、ことばを狂わせられてしまう。第三章では、「ナビ・タリョン」の登場人物であるお千加の出自についての考察と、李良枝が「朝鮮」「母国」「韓国」「祖国」「ウリナラ（わが国）」という5つの呼称を使い分けていることの意図を分析した。

家出して京都府立鴨沂高校に編入し、民族意識に目覚める。

また本名は田中淑枝であるが、良枝を使っていた。

（昭和63年）にはソウル大学を卒業する。

今後、より多くの人が李良枝の作品に触れ、彼女の自分の命を削りながら紡ぎだしているような力強くもあり悲痛な言葉の力を感じてほしい。

[mixi]はじめまして！

自分にとって朝鮮とはどのような存在なのか、李良枝の作品で問われ続ける疑問が、主人公の両親の、朝鮮への愛憎に満ちた複雑な感情が渦巻く家庭から生じたものであると考えた。実際、１ヶ月間の英語圏での語学研修から帰ってきたときには、どのイントネーションで話せばいいのか戸惑いました。

由熙は現代の横書きのハングルを母国語と認めることができない。第136回「ひとり日和」• 第91回該当作品なし• こういう音を持って、こういう音に現われた声を、言葉にしてきたのがウリキョレ（我が民族）だと、ウリマルの響きはこの音の響きなんだと、由熙は言ったわ」と。

（同）赤ん坊の状態でこの世に生を受ける限り、言語とは本来、誰にとっても外から来るものなのだ。

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第121回該当作品なし• 作品としての「由熙」は、아（あ）の使い方とか、派生する表現が、絶品でしたね。

第109回「寂寥郊野」• 第107回「運転士」• また私はトリンによって李良枝作品への理解も深めた。

第一節では、自身の出自を明かそうとしない人物としてお千加を設定したことに、出自に対する差別意識や劣等感を普遍的なものとして描く李良枝の目的があったと分析した。由熙は日本でウリマル（母国語）を独習しただけであり、韓国語を流暢に話すことはできない。

享年37。

第75回「」• 37歳の死は、まさに早世といえるものであるが、彼女が生き続けていたならば、どんな作品を書いたであろうか、際限なく想像ができそうではある。

「由煕」で、「ウリナラ」という自分のこしらえた韓国像に翻弄される主人公が描かれていることは、李良枝が「ウリナラ」を、あるがままの現実の韓国を受け入れる率直な眼差しを封じ込めてしまう存在として捉えていたことを示していた。

第一章では、作品中の家族の不和と兄の死について見た。

昨年東京で「減紫月の舞」という伽耶琴、サルプリの公演を見ましたが、そこに梁石日さんの観客姿に出会い、なんとも言えない感慨を抱きました。

わたしはわたしの言葉だけに属している。

この小説の語り手である〈私〉は、こんな由熙を「日本語を書くことで自分を晒し、自分を安心させ、慰めもし、そして何よりも、自分の思いや昂ぶりを日本語で考えようとしていたのだった」と分析している。

南都留郡西桂町で生まれ、１７歳までここで暮らし、その後韓国に渡る。

〈私〉もまた由熙の苦悩が分かるにつれ、〈ことばの杖〉が掴めなくなる。平成元年ソウルで、金淑子の公演に出演する。

深く影響を受けたとして真っ先に浮かぶ作家は、やはり李良枝（イヤンジ）だ。『かずきめ』（講談社,1983、のち「ナビ・タリョン」として文庫）• その意味でこの小説は時代を超えて問題作であり続ける。

由熙が帰ってしまった後、〈私〉は叔母（由熙をわが子のように可愛がっていた下宿先の女性）に由熙の思い出を語る「笛は一番素朴で、正直な楽器だと思うって、由熙は言った。

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エッセイにも書かれているように、李良枝自身が本国人の気持ちや立場というものを理解していく困難な道筋の中に、この『由煕』が位置付けられるといってもよい。

（何で読んだかは忘れたのですが… 汗）中上との交流についてもですが、李良枝には、「年上の男性」というものに対するわだかまりみたいなものを常に感じます。あと、「刻」も小説の構成に唸りました。

由熙は〈私〉に向かって言う「学校でも、町でも、みんなが話している韓国語が、私には催涙弾と同じように聞こえてならない。また、「かずきめ」（1983年）、「刻」（1984年）もそれぞれ候補作となる。

（光）. あわせて、李良枝の、民族の伝統芸能であるサルプリを通して兄亡き現実を受け入れ、生きていく活力を得た姿が、登場人物たちに投影されていることを見た。

李良枝さんとは取材を通じて知り合い、妹のように可愛がっていただいていた者です。

第64回「杳子」• 後の本名は田中淑枝。