自 閉 症 スペクトラム 学会。 自閉スペクトラム症とは

自閉症スペクトラム障害

自 閉 症 スペクトラム 学会

そもそも自閉症スペクトラムとはどういう概念だったか 最初に確認したいのは、自閉症スペクトラムという言葉の意味である。 この言葉は統一的な定義がなく、研究グループによって、国によって、人によって意味が異なっているため、文脈によってどのような意味で使われているかということを考える必要がある。 今回は、この「自閉症スペクトラム」という言葉の使い方について考えてみたい。 まずは自閉症スペクトラムという言葉はどのように生まれ、どのように変化し、DSM-5に収録に至ったかをみてみよう。 「自閉症スペクトラム」という用語を提唱したのは、イギリスの精神科医であるローナ・ウィングである(Wing 1988; 1997)。 ウィングは1944年に小児科医のハンス・アスペルガーが書いた論文を再発見する形で、自閉症にも知的障害をともなわないもの(IQが70以上)があるという報告をし、これを「アスペルガー症候群」と提唱した。 精神科医の村田豊久はウィングの報告に対して「高機能(自閉症)を、自閉症から区別したということで、アスペルガーの報告を評価したということですね。 ただの、ロウIQ、ハイIQの問題だけです」(村田 2007: 406)と述べている。 80年代当時は知的障害をともなった自閉症は知られていたものの、知的障害がないタイプの自閉症は専門家の間でもまだまだ知られていなかった。 ウィングが、アスペルガー症候群という概念を提唱したことによって、知的障害のない自閉症は大きく取り上げられるようになった。 ウィングはアスペルガー症候群の提唱をした後に、自閉症スペクトラム概念の提唱をしている。 自閉症スペクトラム概念の新規性はどこにあったのか。 ウィングによれば自閉症スペクトラムは「奇矯さと正常性を統合し、両者の区別を曖昧にするもの」(Wing 1997)である。 自閉症か否かで正常と異常をスパっと分けることを避けるためだったことがわかる。 自閉症スペクトラムと呼ばれる範囲についてウィングは「自閉症スペクトラムは広汎性発達障害とオーバーラップし、より広いもの」(Wing 1997)だと述べており、当初想定していたのは、広汎性発達障害とその周辺群であったことがわかる。 これは、自閉症スペクトラムという言葉が異常な拡大を起こす前の話である。 自閉症スペクトラムの意味の変化 自閉症スペクトラムという言葉は日本国内でも解釈が異なる。 宮本信也『アスペルガー症候群 高機能自閉症の本』は自閉症スペクトラムを「自閉的な特徴のある状態をすべて連続したものとしてとらえる考え方」(宮本 2009: 31)と述べている。 宮本は自閉性を持つ者を連続的にとらえると紹介している。 スペクトラムは、自閉症を自閉性の濃淡でとらえるという考え方だ。 宮本の紹介が近年では最もスタンダードな理解である。 DSM-5に収録された自閉症スペクトラムの考え方も基本的には同じである。 詳細は後述するが、この理解だとウィングの提唱した自閉症スペクトラムより狭い範囲を指すことになる。 一方で、本田秀夫『自閉症スペクトラム』では異なった捉え方をしている。 例えば、発達をボトムアップ的にのばすのではなく、いくつかの目標(協調性よりもルールを守ること等)などをトップダウン的に設定して、将来の到達点を低めに設定しておくことなどは非常に重要である(129頁)。 また「非障害性自閉症スペクトラム」という点も重要である(91頁)。 いわゆるシュナイダー基準というものだ。 精神病理の症候としては、自閉症スペクトラムなり、うつ病なり、不安障害の項目は満たしているが、日常生活に支障がなければ、それは精神障害とは呼ばないという考え方である。 自閉症スペクトラムにおいても、この考え方を尊重することは非常に重要である。 自閉症が片方の軸にいるとし、もう一方の軸に正常があるとすると、その間に正常と異常の線引きはなく、地続きであるというイメージだ。 そして、どんな人も、そのどこかにマッピングされるという考え方だ。 本田は広く捉えた場合には、自閉症スペクトラムは人口の10%は存在すると述べている(本田 2013: 15)。 私の知る限りなのだが、日本では本田のように拡大された自閉症スペクトラムの解釈が紹介されることが多い。 しかし、この解釈はスタンダードなものだとは言いづらい。 そして同時に強い違和感も覚える。 本田の本から引用しよう。 本田は典型的な自閉症ではないが、以下のことも自閉症スペクトラムに該当するという。 「話が理屈っぽい」「食事中にテレビについ夢中になってしまう」「特定の作家の漫画に熱中する」「インターネットやSNSに熱中する」「女の子同士のグループでいつも行動することが肌に合わないと感じる」(本田 2013: 23) 行動が少し逸脱的だと自閉症スペクトラムというラベリングを貼られるようだ。 このくらいの逸脱ならば、誰でも一つや二つくらいは当てはまるのではないだろうか。 これは、社会からの逸脱を診断名や病名で捉える現象である。 医療社会学ではこの現象を「医療化」と呼ぶ。 このような拡大された自閉症スペクトラム理解も医療化の一つだと考えられる。 確かに、生活に支障をきたすくらいインターネットやSNSに熱中して社会生活に支障があるなら、それはそれで問題である。 精神医学であれは、インターネット依存という概念のアプローチをするのかもしれない。 しかし、少なくともインターネットへの熱中を脳機能障害である自閉症スペクトラムだと捉える研究はないし、エビデンスもない。 また、特定の作家の漫画に熱中することに至ってはどこが問題なのかが理解できない。 インターネットやSNSに熱中するのを自閉症スペクトラムだと言い始めれば、エセ科学の領域に突入する。 要するに、インターネットの使いすぎは脳機能障害であるということだ。 ゲーム脳などとほとんど変わらないレベルのデタラメさである。 このようなことを書いている本田秀夫は無名な人物であれば「そういうことを言う人もでてくるだろう」で済む話なだが、彼は日本における自閉症の大家の一人である。 しかも、本田のような拡大された自閉症スペクトラム理解をしている臨床家は少なくない。 ほとんどの臨床家は、日本語で書かれたものを読んで臨床の知識を得ている。 日本では自閉症スペクトラム拡大の運動的思想の下で書かれた書籍が多く、書籍に明らかな偏りがあるということを気づく機会もあまり提供されていない。 自閉症スペクトラムという言葉の取り扱いは丁寧にした方がよいのではないかと思うのだ。 自閉症概念の拡大によって自閉症研究がエセ科学めいたものになっていることは、もう少し知られてもいいのではないだろうか。 【次ページにつづく】.

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自閉スペクトラム症とは

自 閉 症 スペクトラム 学会

第11回目 自閉症とセロトニン 相手の気持ちが理解できないとつらいですよね。 コミュニケーションがうまく取れないときって結構たくさんあると思います。 でも多くの人よりももっと苦労しているのが、自閉スペクトラム症(以下、自閉症とまとめます)と診断されている人たちです。 自閉症は社会性コミュニケーションの障害や特定のものごとに偏った強いこだわりを示す発達障害です。 脳発達のプロセスに異常が生じることが起因となると考えられていますが、その原因はいまだ解明されていません。 ゲノムに生じる遺伝的な変異や胎児期の脳の炎症などがそのリスク因子として考えられています。 驚くべきことに最新のアメリカの報告では子どもの59人に1人が自閉症と診断されています。 日本でもその数は大きく増加しています。 脳のなかを検査する脳機能イメージング研究から、一部の自閉症の人たちにセロトニンをつくったり、シナプスから出されたセロトニンを細胞に取り込む機能の異常が見つかってきました。 セロトニンは神経伝達物質のひとつで、その役割は脳の発達から睡眠リズムや情動の調節など多岐にわたります。 セロトニンが作用すると神経細胞は活性化したり、逆に抑制化して脳の機能が調節されます。 そして 自閉症のモデルマウス研究から、発達期のセロトニンが自閉症の社会性コミュニケーション障害に関わることが明らかとなってきました。 「自閉症のモデルマウス」?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。 マウスとヒトのゲノム情報は似ているので、自閉症で見つかっているゲノム変異を再現したモデルマウスを作製することができます。 マウスもヒトも生物学的な脳発達のしくみは共通していると考えられます。 自閉症の脳内で起こっている異常を解明するため、研究者たちはこのようなモデル生物を利用しています。 モデルマウスの脳では生後まもない発達期の時点からセロトニンが減少しており、感覚入力を受け取る脳領域の機能が低下しています。 そして仲間のマウスに対してアプローチするような社会性行動を積極的にとりません。 そこで、発達期の仔マウスに脳のセロトニン量を高める薬を投与すると、成熟後の社会性行動が改善することがわかりました。 さらに、発達期のセロトニンを回復させることで、感覚入力を受け取る脳領域の機能も改善していました。 つまりセロトニンの減少が脳発達のプロセス異常の原因となっており、成熟後の行動にも影響を与えることがモデルマウス研究からわかってきました。 このように発達期のセロトニンが大事であることはわかってきましたが、注意しなければならないこともあります。 それは、自閉症はひとつの同じ原因で生じるわけではないことです。 セロトニンの異常は一部の自閉症の人たちで見つかっていますが、全員に当てはまるわけではありません。 ほかにも多くの要因が自閉症の発症に関与しており、自閉症の解明をむずかしくしています。 そして、現在のセロトニン量を高める薬剤は抗うつ薬に多く、それらを子どもの頃に摂取すると副作用のリスクが心配されます。 そのため、モデル生物を使った基礎研究が進むことで、副作用のリスクがない新しい自閉症の治療法に発展していくことが望まれます。 自閉症などの発達障害で社会的なコミュニケーションに苦労している人たちは多いので、脳科学の知見が少しでも役に立つことができれば幸いです。 文責:中井 信裕 所属学会:日本神経科学学会 所属機関:国立研究開発法人理化学研究所 脳神経科学研究センター 精神生物学研究チーム.

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小児自閉症を治療する免疫治療 眠っている免疫細胞(マクロファージ)を活性化する治療法です。

自 閉 症 スペクトラム 学会

こんにちは! 家庭教師のファミリー認定プロ教師の今です。 多くの保護者さまが悩まれる、お子さまの家庭学習や勉強方法。 とくに発達に特徴のあるお子さまの場合、どのような勉強方法やサポートをすればよいのか戸惑う保護者さまもいらっしゃるのではないでしょうか? 今回は「自閉症スペクトラム」の特性と、その学習面におけるメリット、注意点、また学習のコツやポイントについてお話します。 自閉症スペクトラムの特性とは? 自閉症スペクトラムは、2013年にアメリカ精神医学会の診断基準DSM(精神障害の診断と統計の手引き)が改訂された際、これまで広汎性発達障害と命名されていた小児自閉症やアスペルガー障害を含む障害の総称として新たに命名された名称です。 特性は、大きく分けて4つ。 ・社会的コミュニケーションが苦手 ・無目的に同じ動作を繰り返す(常同性) ・強いこだわりがある ・感覚過敏(または鈍感) これらのうち2つ以上の特性を持っていると、自閉症スペクトラムと診断されます。 また、医療と研究の進歩に伴い、診断基準も変わることがあります。 必ず小児精神科等の専門機関での検査と医師の診断を受けてください! これらが組み合わさることで、学校の勉強についていきづらい、新しい環境になじめず授業に集中できないなどという困り事が起こる場合があります。 反面、こだわりを良い方向に発揮してその子の好きな分野の能力を伸ばせる場合もあります。 専門機関での検査と助言をもとに、お子さまに合った学習範囲と方法をさぐることが大切です。 自閉症スペクトラムの勉強法とは? 自閉症スペクトラムのお子さまは、あいまいな表現や、いわゆる顔色・空気をほどよく読むといったコミュニケーションを苦手とすることがあります。 笑顔でやわらかく「ダメだよ」「ここ、間違ってるよ」などと助言した場合でも、「ダメ」「間違い」という否定的な言葉だけを拾ってしまい、必要以上に傷ついてしまう等です。 相手の顔色を過度に気にしすぎて、「どちらでもいいよ」などあいまいな指示を出されたときに「どっちにすればいいんだろう?間違えたら怒られる!」と、パニックになることもあります。 学習をサポートする際の声かけには十分な注意が必要です。 自閉症スペクトラムのお子さまに対する接し方のポイント ・否定的な表現は使わず、肯定文で話す ・あいまいな表現は避け、指示は具体的に出す(「わかるところまで解いて」ではなく「問〇のカッコ〇番まで解いて」と指示) ・大声を張り上げない(感覚過敏の中に聴覚過敏の子がいる恐れあり) 自閉症スペクトラムのお子さまに向いている勉強方法 ・予習に多く時間を使う ・短時間で集中して繰り返し学習する 自閉症スペクトラムのお子さまは、こだわりが強く新しいことが苦手だと言われています。 そのため、どの学習においても予習をして気持ちに余裕を持たせておくことが大事です。 また、授業の復習を短時間かつ繰り返し行うことで学習を定着させることができます。 学習を始める前に予定表を作って渡すのも、気持ちを安定させて勉強に集中させるには効果的です。 自分の思考と違うスケジュールや予定外のことが苦手なので、事前に何を学習するのか伝えてあげればお子さまは安心して取り組めます。 なお、自閉症スペクトラムのうちアスペルガー障害の特徴として、聴覚情報よりも視覚情報が有利な傾向があります。 図や絵を取り入れて、視覚にうったえながら学習を進めると理解しやすいでしょう。 ただし、お子さまによってはあまりにもカラフルな教材では情報量が多すぎて、かえって問題内容を把握できなくなることもあります。 白黒コピーをとるだけで解決する場合もありますので、いろいろな手段を試してみるのが良いでしょう。 自閉症スペクトラム児への家庭教師のサポート例を紹介 家庭教師であれば、個々の特性に合わせ対応することが可能です。 ここでは私たち によるサポート事例をご紹介しましょう。 case1 小3(自閉症スペクトラム) 症状:思い込みが強く怒りっぽい、些細なことで気分が変動する、集中するのに時間がかかる こちらのお子さまは、自分の想定外の事態になると、気持ちの処理が追いつかずパニックになったりイライラしたりという状態になります。 「算数の掛け算をやりたい」と思っていたのが「掛け算をする予定」と本人の頭で置き換えられてしまい、いざ授業で足し算や引き算のプリントを渡されると「これじゃない!」とパニックになるといったことがありました。 対応としては、しっかりと見通しを示しておきます。 「予定表」を渡し、課題を1つクリアするごとに線を引き予定を消してもらいました。 ねらいは「想定外を減らすこと」と「達成感を味わってもらうこと」。 宿題はその日できるようになった範囲から、短時間でできる問題を出題するようにしました。 想定外からのイライラが落ち着くように、穏やかに話しかけ、根気よく向き合っていると、時間はかかりましたが落ち着きを取り戻し、イスに座ってくれるようになりました。 case2 中3(自閉症スペクトラム) 症状:言語能力が低く、行動や集中力などは小学4年生程度。 人の表情をよく読み取り、信用できる人か見ている。 信用できる人とわかれば仲良くなり、自分の好きなことなどを話してくれる。 しかし、場を考えて話したい欲求を抑えるのが苦手。 信頼関係が築けないと学習が進まなかったため、まずは信頼関係の構築を進めました。 学習には本人の得意な絵を取り入れると、内容が受け取りやすくなったようでした。 自分を見て欲しい、認めて欲しいという欲求の高いお子さまでもあったので、様子をよく観察し、具体的に褒めて自信につなげていけるような声かけを行いました。 できる分野への自信がついて、自ら勉強していく意欲を持たせることができました。 以上のように、個々の特性に合わせて個別のサポートができるのが、家庭教師の大きな強みです。 環境の変化を苦手とする自閉症スペクトラムのお子さまにとって、生活している自宅で先生と勉強することは、とても安心できるいい学習環境だと言えるでしょう。 自閉症スペクトラムの勉強法はお子さま一人一人に合わせて コミュニケーションが苦手であっても、その様態は一人一人全く異なります。 また、コミュニケーションを取ることが不可能なわけでは決してありません。 お子さまにあった方法でじっくり関わり、信頼関係を築くことが可能です。 一見風変わりに見える一つ一つの行動にも、本人なりの理由があります。 また、それらはお子さまの大切な個性でもあります。 私たちはその個性を生かし、得意な分野を伸ばしていくサポートが大切だと考えます。 きめ細やかな個別対応ができるのは家庭教師の最大の強みです。

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