十分に機能する人間 クライエント中心療法の最終的な目標は、自己実現したクライエントが自身で問題を解決していける十分に機能する人間になることである。
クライエント中心療法において、一定の条件下でなければ評価されてこなかった経験から自己一致の状態になることで、不適応や精神病理が生じると考える。
無条件の肯定的関心、無条件の肯定的需要とも呼ばれている。
その体験はすべての人びとの人格変化,行動変化,社会的問題解決の基本であることが確かめられていった。
この研究仲間の一人であったジェンドリンGendlin,E. 関連項目 [ ]• しかし、あくまで、現在の治療関係においてセラピストが自己の感情や内的状態に気づいているべきということであり、必ずしもクライエントに感情や内的状態を常に伝える必要があるわけではないことに注意する必要がある。
更に、治療関係の中で生じたすべての感情や内的状態に対し気づいており、受け入れている状態を指す。 」 共感的理解は、聞き手が相手とは違うという前提に立って自分が持っている価値観や規範意識を棚上げして相手を理解することである。 3つの態度要件 クライエントの潜在的な成長力を促進させるセラピストの態度としてロジャースは以下の3つをあげた。
8【パーソンセンタード・アプローチ(PCA)1974~1987】 エンカウンター・グループを支える基本理念は,やがてロジャーズの有機体としての人間とその集まり,コミュニティへの信頼へと深化され,「クライエント中心」を「人間中心person-centered」に変えた新たな展開に移る。
クライエント中心療法の中核となる仮説は,カウンセラーが関係の中で,クライエントに本来備わっている成長への潜在力を発揮できるような風土づくりをすることであった。
面接の録音記録を実証研究に活用する方法はロジャーズに始まったといわれるように,この時代にセラピーの実証研究の可能性を促した。
さらに、 後期 [ ]のロジャーズや 現在 [ ]のロジャーズ派においては、プレゼンス(人がそこにいる事)という概念が重視されるようになった。
により提唱された。
ロジャースの言葉を用いると「あたかもその人の立場に置かれたように感じること。
Kramer, Robert 1995. 1940年代,すでにロジャーズはカウンセラーの訓練に集中的グループ経験を活用しており,その有効性を認めていた。
は子どもへのプレイセラピーに応用、はとフォーカシング指向心理療法を提唱、ロジャーズの娘ナタリー・ロジャーズは表現アートセラピーを実践、プルーティは精神障害や知的障害を対象に、プリセラピーを提唱した。
これは Otto Rank のの影響から生まれたもので、ロジャーズは晩年、ある [ ]に答えて「わたしの師はオットー・ランクと、自分のたちです」と述べている。 後者は,クライエント中心療法の3条件を統合失調症の人びとに適用することにより起こるセラピーのプロセスの変化を測定したものである。
ロジャーズの共同研究者や弟子たちは、ロジャーズの考えを引き継ぎ、発展させた。
すると、クライエントはこれまで明確には理解していなかった真の感情状態への気づきが可能となり、自己一致への足掛かりを得ることが出来る。
【非指示的療法の提起 1940~1950】 ロジャーズは,『カウンセリングと心理療法Counseling and Psychotherapy』(1942)で,カウンセリングと心理療法はいずれも,個人との持続的・直接的な接触による行動・態度の建設的な変容の支援という点で基本的に同じ方法を活用しているとして両語を互換的に用い,その支援の目的は,特定の問題解決ではなく個人の成長と自立であるとして,非指示的療法non-directive therapyを明確に打ち出した。
一般的な基準からみた否定的な内容であっても、クライエントに承認やねぎらいの言葉をかけることによって肯定的な関心を寄せていることを伝えていく。 。
161974年に開始されたPCAは,コミュニティの新しいあり方を模索する100人規模の16日間に及ぶ大グループ活動であり,そこで体験される混乱,葛藤,対決,出会い,グループ内治癒力,自己受容は,人びとが属している社会の疎外,人種間緊張,国内・国際摩擦などの深刻な問題に変化をもたらす契機となることが志向される。 カウンセラーの態度条件を満たすためには、カウンセラー自身の自己実現が求められる事となる。
【クライエント中心療法の展開 1950~1964】 一方,ロジャーズは,「非指示」という用語が方法論の強調と受け取られる誤解を解くために,その真意を『クライエント中心療法Client Centered Therapy』(1951)で展開した。
概論 [ ] 非指示的療法 Non-Directive Therapy [ ] 非指示的療法の時代(1942年 - )においては、ロジャーズは、繰り返し、感情の反射、明確化などの、カウンセラーの技術を提唱したが、「非指示的療法は単なるオウム返しのみで成立する」という誤解が広まったため、名称を来談者中心療法と改め、1951年に同名の著書を出版、カウンセラーの姿勢を重視するようになる。
また,このアプローチの理念の到達点での表現であるパーソン・センタード・アプローチperson-centered approach(PCA)とよばれることも多い。
クライエントclientとは「顧客・依頼者・来談者」の意で,わが国では来談者中心療法と訳されることもある。
なお、ロジャーズははじめて心理療法を受診する者を「患者」ではなくクライエントと称した。
はその後,情緒的体験過程に焦点を当てたフォーカシングfocusingという自己理解のための方法と心理療法を開発している。
その名称は、ロジャーズによって、 () Non-Directive Counseling から来談者中心療法、そして () Person Centered Approach へと、時代を追って改名されている。