またもや唐突な話になってしまった。
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その理由がない僕は、完全にアホというふうに分類され、周りの職場の人から何を考えているのかわからない奇怪なやつだと思われ、多くの好奇心の目にさらされた。
そもそも僕は地方行政というものに関心があって自治体職員になったわけではない。
この町に住み、生きていくのはアニメ好きの人ばかりではないはずだ。 しかし、辞めるための理由が特にないということは世間が許さないらしい。
入庁するときは志望理由を聞かれ、退職するときは辞める理由を求められた。
市役所も同様で、町のPRのために色んな戦略で町を売りだし、人を町に呼び込む。
多くの会社は、自分の会社の製品をより多くの人びとに売りつけることで利益を得ている。
市役所で働く人たちは基本的にあの庁舎内に篭りっぱなしなので、誰かの噂話がすごく好きなのだ。 僕の住んでいる町は今、あるアニメの聖地として一定のアニメ好きの人にはすごく人気があり、駅ではいつの間にか、そのキャラクターの看板が立つようになった。
3そういったことに疑問を抱かない人たちが市役所の中にたくさんいたこと、そして僕自身もそのうちの一人だったということを思い、僕は自分にがっかりしてしまった。 公務員を辞める4つ目の理由があるとすれば、「アホだから」が相応しい。
役所の外は危険だ、というようなことだ。
建前と本音を前に折り合いをつけられるほど僕は大人になりきれなかった。
ある先輩は僕に「市役所で働く時はな、六法全書に書かれている通りに仕事すれば怖いものはないよ。
新聞やニュースでしきりに報道している、今外国人がやたらと日本に観光に来ている現状を目の当たりにした気がした。 狭い檻の中でエサを与えてもらっている動物園の動物みたいに、僕はいつの間にか生きることに怠惰になっていた。
17マスコミは官公庁絡みの不祥事 飲酒運転や性犯罪 が大好物なので、そのテの事件については大々的に報道する。 時刻は午後の4時。
生きることに困らない人たちが、生きることに困っている人たちの話に耳を貸すことができるだろうか。
そこそこの仕事量で日々増えていく預金通帳を眺めながら、安定ってこんなものか、と思ってしまう自分がいた。
僕はそんなアニメなんかに興味はないし、あんな看板が駅にできてしまったら変なイメージが僕の町についてしまいそうで個人的に困る。
特に使うアテもないお金を手にして、やりたいことも、その先に何が待っているのかもわからず、何となく居心地が良いからといって周りと同調しながら惰性で生きていく。
ただ、いまの仕事を辞めたかったから辞めたのだった。
僕自身がそうだったのだが、人は「生きていける」という安心感を得ると、周りのことに関心を示さなくなったり、新しいことに挑戦したりする気概を失ってしまったりする。
僕は辞めた後の転職先も特に決まっていなかった。
基本的には辞めない。
3つ目は何らかの犯罪や業務失態を犯した人。 当時配属していた課の課長からは、「来年から公共料金の支払いに追われるよ。 だけど仕事となると、自分が好きではないものでもニコニコしながら売り出していかなければならない。
10」と仕事の上でアドバイスをくれた。 組織として働くことにもある種のやるせなさを抱いてしまっていた。
僕が辞めた時も同じタイミングで数人の若手退職者がいたけど、僕以外の人たちは皆、辞めた後の転職先が決まっていた。
昨年の4月、6年間勤めていた会社を辞めた。
市役所職員が市役所を去る理由というのは、主に3つある。
風邪をうつされたくなかったので、彼らの座っているシートからなるべく離れ、僕は空港の本屋さんで買った文庫本に目を移した。 おそらくこの人たちが市役所を辞める割合の9割を占めていると思う。
背の高い黒人がフードコートの寿司屋で寿司を食い、裕福そうな中国人の子供が待合所のソファーに座りながらスナック菓子の袋を開け、僕の心をそわそわさせる。 2つ目は転職。
安定した生活は、財布の中身とローン時の信頼度を厚くしたが、僕の心までは熱くしてくれなかった。
あいつはクスリに手を出して頭がおかしくなったんだと言う者あり、宝クジが当たったから辞めるんだと言う者あり、様々な噂が飛び交い、僕の耳に飛び込んできた。
目の前には、風邪で熱があるのか、だるそうな顔をした白人の男とその様子を心配そうに見守る彼女の姿がある。
中でも、他の町での公務員試験がパスし、来年からはよその町の役人になります、という人が大半だった。 僕は、このままそこそこのサラリーをもらいながら、安定した生活を送っていてはいけない気がした。
12ここ最近の市職員関連のニュースといえば、「ちくびおじさん」が特に有名だろう。 話は成田空港第3ターミナルの国内線、出発ロビー前のフードコートから唐突に始まる。
税金すごく高いよ〜払っていけるの?」などとお金のことでチクチク意見を言われた。
イルでROCKな辞め方だ。
その処理は間違っていると感じても見て見ぬふりをしたり、組織や制度がそれをはねつける。