「そのためにも、ニーナには帝国に所属してもらいたいと考えている。 彼の上司が一番警戒していたのが、大公カロンだった。
「それにしても……あの魔獣はなんなのだ」 異なる種類の魔獣が連携するなどありえない。 「貴公らが追っていた魔獣は我々が責任をもって討伐する! ここは我が砦の領域である。
あとは、どうやって蜘蛛や蛇っぽい動きを再現するかだったけど、それは『お掃除ロボット』に魔獣の素材を組み込むことで解決した。
これは帝国兵しては常識のはず」 反論できなかった。
錬金術師だからね」 『創造錬金術』でゴーレムが作れることは、なんとなくわかっていた。
だが、蜘蛛の魔獣はあっさりとそれを避ける。
「帝国兵だと!? どこの部隊だ!!」 「 旗印 はたじるし によれば、『ノーザの町』に駐留する、アイザック・ミューラの部隊です! 兵士が10名。
門から出て、接近戦で魔獣を仕留める。
その奥に控える魔王はもっと底知れない。
理解できなかった。 その後は、貴公たち引き渡す。
念のため、監視役もつけてある。
それらを応用すれば、ゴーレムを作成することはできる。
さすがは先帝の 懐刀 ふところがたな と言われたお方だ」 砦の指揮官は、落ち着いた口調でつぶやいた。
実際の生命を 模倣 もほう するアイテムを作れるようになった。 「そして、ソフィア殿下は以前、ムカデ型の魔獣に襲われている! 魔獣を召喚した者がここにいるなら、責任を取ってもらわなければならない! 小官は殿下の部下とだ。
精兵の帝国兵が守る砦に突撃してくる魔獣がいるものか。
あれは素材を加工して、好きなかたちにできるからね」 『お掃除ロボット』は、動力源として光・闇・地・水・火・風の魔石を三等分して組み込んである。
あの『お掃除ロボット』がたどりついた場所だけを調べさせてもらいたい。
だからこの砦は、極秘部隊を育てる拠点として、ちょうどよかった。 砦の兵士も、指揮官も、帝国軍のなかでは 閑職 かんしょく だ。
「あれは勇者世界のマジックアイテムであり、魔獣の 痕跡 こんせき をたどる能力を持っている。
証拠がなければ、さすがの大公カロンもなにも言えまい」 「その『切り札』を南の戦線で使ったら、大公に疑われるんじゃないか?」 「帝国は結果がすべてだ」 指揮官は言った。
そして、ボール型の魔獣がジャンプ。
逃げ切れる距離だ」 「万が一、逃げ切れなかったら?」 「そのときは……『切り札』のうち1匹を使って、大公の足止めをする」 指揮官ゲラルトは、フードの下で唇をゆがめて、笑った。
担当する地域を守るため、魔獣を討伐するのは当然のこと。 聖精霊と同じく、魔精霊も第四柱からは次元の違う強さだという知識も流れ込んできた。
ニーナが案じているのは、危険だと噂されている帝国に娘を差し出すのは公国の体裁的にどうなのかという話。
召喚された新種だろう。
その言葉を聞いた兵士たちは、互いに顔を見合わせている。
そうすれば、大公が文句を言ったところで意味がない。
間違いないだろうか?」 「その通りだ。
大公の位置はわかっている。
吸水と排水のための隙間もある。