ただ、スタンフォードB型でも病状が進行し、腹腔動脈や両側腎動脈、上腸間膜動脈に解離が及んだ場合は、手術の適応となります。
スタンフォードA型の治療 A型の解離に対する手術としては、上行大動脈への人工血管置換術、あるいは上行大動脈プラス弓部大動脈への人工血管置換術などが行なわれます。
1-1、大動脈解離の分類 大動脈解離の分類は、スタンフォード分類とドベーキー分類の2つがあります。
このため、上行・弓部大動脈から下行大動脈の上の方(心臓に近い方)にかけては、ズレが起こりやすいと考えられ、内膜に亀裂が入ることがあります。
大動脈の拡張や縦隔の拡大、心タンポナーデの場合には心拡大を確認できる場合がある。
A型大動脈解離では胸骨を縦に切開して、上行大動脈から弓部大動脈のすべて、もしくは一部を人工血管に置き換えます。 腹部大動脈瘤の場合、体外循環は必要としません。
一番内側の内膜に何らかの原因で亀裂が生じてしまうと、そこから内膜と中膜の間に血液が流れ込み、偽腔を作って、血管壁が裂けてしまうのです。
解離が起こっていると、上行大動脈内に波状に動くフラップ(偽腔と真腔を隔てる血管壁)が認められる場合があります。
スタンフォードA型は上行大動脈に解離がある状態で、スタンフォードB型は上行大動脈に解離がない状態です。
上行大動脈にエントリーがある場合には 上行大動脈置換術、弓部にエントリーがある場合には 弓部大動脈置換術、 下行大動脈にエントリーがある場合には、 下行大動脈置換術などが行われる。
11激痛の場合は破裂の可能性があるので、直ちに救急車を呼んでください。
図4 大動脈解離の分類(スタンフォード分類) 大動脈瘤の症状・診断・治療 まず大動脈解離以外の大動脈瘤の説明をします。
鎖骨下動脈なら上半身の痛み、腸間膜動脈なら腹痛、腎動脈であれば腎不全になって無尿になり、下半身につながる腸骨動脈だと下半身に痛みが生じます。
大動脈弁(心臓の出口の弁)大動脈弓部まで広範囲に置き換えることも少なくありません。
図6 スタンフォードB型の治療 大動脈が破裂していたり、各臓器に充分な血液が届かなくなっていたりする場合は、B型の解離であっても、下行大動脈や腹部大動脈への人工血管置換術、あるいはステントグラフト内挿術やハイブリッド治療が行なわれます。 6 治療:<図7>の「急性大動脈解離の診断および治療方針」を見ていただきながら話を進めます。
3図1 偽腔の外側には外膜しかないので、血圧に負けて外膜が破れ、血管の外に出血したら、致命的な事態を招くことになります。
高齢化社会が進んできたことが原因の一つ。
退院後もテルミサルタンとアムロジピンを服用しており、血圧は上が平均して120ほどで、時々130ほどに上がります。
大動脈解離を疑えば心臓超音波検査を直ちに行うことで、解離、心タンポナーデ、大動脈弁閉鎖不全、冠動脈血流障害などがチェックできます。
図10 図11 人工血管置換術が「傷んだ水道管を取り換える」ようなものだとしたら、こちらは「傷んだ水道管を内側から補強する」ようなものだと言えるでしょう。 上行大動脈に解離があるA型は、急死に至る合併症(心タンポナーデ、心筋梗塞、大動脈弁閉鎖不全症、急性心不全など)を生じやすいため、緊急手術が必要です。
また、大動脈から枝分かれする動脈の真腔が圧迫されると、その先の臓器の働きに影響が出ます。 その他、冠動脈閉塞による心筋梗塞、肋間や腰動脈 胸髄を血流する の閉塞による 対麻痺、 腸骨動脈の狭窄・閉塞による 下肢虚血、腹腔動脈や上腸間膜動脈の狭窄・閉塞により 腸管虚血を引き起こすことがある。
Stanford B型のでは、薬剤コントロールがついても6~12か月ごとに定期受診、CTのフォローアップ、解離の進行の有無を確認します。
大動脈瘤とは? 動脈硬化などで弱くなった大動脈に、こぶ状の膨らみができることがあります。
図1 大動脈の流れ 大動脈瘤は増えているか? 最近では、高齢化社会に伴い、この大動脈瘤をもつ患者さんの数が、心筋梗塞の患者さんと同様に増えています。
緊急入院時のCT所見では、真腔の圧迫、偽腔径、偽腔真腔比、解離部の最大血管径が予後不良群で、また偽腔の血栓化は予後良好群で、それぞれ有意に高率ないし高値だった。
6また、日頃から血圧を測る習慣をつけておくと、急な変化にも気づきやすいためおすすめです。
右側の血圧が低い場合には、腕頭動脈の閉塞が考えられるため、スタンフォードA型の可能性が高いと考えられ、緊急性が高いと判断できる。
大動脈瘤の他の原因には、壁が弱くなる変性疾患、外傷、炎症、感染、先天性の場合などがありますが、動脈硬化が原因のほとんどを占めています。
これにより、重症度や治療方針も変わってきます。
大動脈解離では、張り裂けるような強い胸痛・背部痛を伴うため血圧の上昇を予防するためにも疼痛コントロールは重要となる。 大動脈の血管壁は、内膜・中膜・外膜の三層構造になっています。 軽度低体温手術 心臓を止め、人工心肺で血流を確保する場合、一番問題になるのが、最も虚血に弱い脳の保護です。
5しかし、一部のB型解離は破裂を起こしたり、血流低下を起こして生命の危険性をきたす合併症を引き起こすことがあり本当は怖い病気の一つです。
ただし、これはそれほど多くはありません。
3週間保存治療での入院の後、一ケ月の自宅療養を経て職場復帰OKと医師から言われました。
ここには上方に3本の大きな分岐(腕頭[わんとう]動脈、左総頸[ひだりそうけい]動脈、左鎖骨下[ひだりさこつか]動脈)があり、それらを通して脳や左右の腕に血液が送られています。
また、肝機能障害が起こります。 おわりに:大動脈解離は急性期の治療が大切!その後も定期的に検査を 大動脈解離は、とくにスタンフォードA型と呼ばれる上行大動脈で起こった場合に48時間以内の治療が重要とされています。 このように大動脈の壁(中膜)が裂けた状態を「解離」と呼びます。
18それで、これまでは手術に際し、摂氏20度前後の超低体温にすることで脳の代謝を低下させ、虚血許容時間を延長させてきました。 MRI(磁気共鳴画像)検査 磁気の力を使って臓器や血管を撮影する検査です。
であれば、より安全性の高い発症前に実施すべきでしょう。
そのため、看護師は大動脈解離で保存療法が選択された場合でも、異常の早期発見に努めていかなければいけません。
大動脈の構造と大動脈解離 大動脈解離は、予兆なく突然の激痛で発症します。